2017年
4月号
4月号
本物を識る地元の人に愛される料理を
神戸北野ホテル
私がここに来たのは平成12年(2000)です。阪神・淡路大震災後、ホテルの存続を願う地元の人たちの期待に応え、オーベルジュとしてリニューアルしました。
ここには2つのレストランがあります。少しカジュアルな「イグレック」は、朝は「世界一の朝食」、昼はランチ、午後はアフタヌーンティー、夜はナイトデザートブッフェなど様々な顔があります。もう1つのレストラン「アッシュ」では私の師匠、ベルナール・ロワゾーが1970年代に創り上げた新しいフランス料理の技法を継承した、シンプルで軽めの現代風フレンチを提供しています。神戸は日本の中でも食材が豊かな街です。その「地産」をフランス料理のテクニックを用いて、料理として表現しています。
神戸・北野の人たちは本物を識っていますし、昔から異国のものを受け入れる文化がありますから、本物を受け入れてもらいやすい地域性があるのですよ。ですから、地元の人に愛される料理を常に目指しています。神戸で唯一のものは、世界で唯一のものなのです。私の料理はひらめきから生まれるものではなく、お客様との「対話の料理」です。お客様の趣向と時の流れは常に同じではありません。変化しているからこそ「変わらない」のです。
ここはかつて日本ではじめてオリーブが栽培された場所だそうですが、山の空気を感じながら船の汽笛が聞こえる日本でも稀有なロケーションで、時を忘れゆったりとした気持ちになれる特別な場所です。
神戸北野ホテル
神戸市中央区山本通3-3-20
TEL.078・271・3711