2022年
8月号
8月号
木のすまいプロジェクト|平尾工務店|瓦編|Vol.7
失われつつある日本伝統の建築文化を未来へ。
連綿と受け継がれてきた匠たちの仕事をご紹介します。
鬼瓦
平尾工務店が使用している三州瓦を例に、瓦づくりについてご紹介しています。今回は鬼瓦にスポットを当てましょう。
鬼瓦とは、棟(屋根部分の天辺)の端などに設置される役瓦のことをいいます。鬼の形をしていなくても鬼瓦といい、シンプルなものから複雑なものまで形状はさまざま。種類が同じでも産地によって微妙にデザインが違うそうです。
鬼の形のものは鬼面とよばれ、これは大陸からやって来た獣面をもとに、鬼を力の象徴として崇める日本で独自に発達したもので、角のある鬼を屋根に乗せるのはわが国独特の文化だとか。鬼面が登場したのは室町時代といわれ、鬼面を見た大名がその姿に似た妻を思い出して泣く「鬼瓦」という狂言もあります。
鬼瓦には厄を除け邪気を払うという意味以外にも、建物の装飾性を高め、瓦の端や継ぎ目を覆い水の浸入を防ぐという大切な役割があります。
鬼瓦は、鬼師という鬼瓦専門の職人が手づくりで製造します。材料は瓦粘土で、まず図面を作成し、それをもとにして手作業で巧みに造形。鬼面などは中を空洞にしますが、厚みをなるべく均等にします。その後2週間以上かけてしっかり乾燥させ、だるま窯で焼成しますが、形が複雑なので温度管理は慎重に。焼き上がり直後に窯の中に空気が入ると発色が悪くなるので、冷まして窯を開けるまで気が抜けません。出来上がった鬼瓦はまさに芸術品です。
鬼師は伝統的な高い技術を受け継ぐ専門職のため、その育成にも力を入れているそうです。
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