2022年
5月号
5月号
KOBECCO お店訪問|BAR 崑崙
港町の酒場の浪漫を刻む。本物の、神戸の夜がある
瀟洒で、居心地が良い。
長いカウンターは、肘をつく部分がクッションになっている嬉しい造作。アンバーカラーのやさしい明かりに、マスターの田村芳晴さん自ら生けた花々が映える。アンダンテに流れるジャズの調べに乗り、氷を砕く音もシェーカーが刻むリズムも一幅のサウンドスケープとなる。
注がれたのは店名を冠した「崑崙」。1983年のオープン時から愛されてきた、鮮やかな翡翠色のカクテルだ。ラムをベースにグリーンティーリキュールとライムジュースを合わせ、口当たりもやさしい。稀少なアイラモルトから昨年六甲山にオープンした醸造所のものまで、ウイスキーは200種類ほど。ノーチャージで、お好みのお酒を肩肘張らずに。
穏やかなマスターとの会話も愉しい。トム・キャンティ。ルル。でっさん。ダニーボーイ。今は幻となってしまった神戸の名店に「若い頃、背伸びして通ったもんですよ」とマスター。あの頃を留める空間でグラスを傾けながら、佳き時代の神戸の余韻に酔いしれる夜もいい。
崑崙
神戸市中央区北長狭通2-1-11
玉広第2ビル7F
TEL.078-333-9306
17:00~23:30
月曜・火曜休