11月号
帰って来るとホッとする わが街、千歳町
“美しさ” に包まれて 夙川千歳町の暮らし
住民の眼から見た千歳町はどんな街なのだろうか。
この地で暮らし、アトリエを構え「木彫はちのす会」を主宰する渡辺二笙さんにお話をうかがった。
神様に守られている街
私は千歳町で生まれ育ちました。幼い頃は桜並木の夙川公園でよく散歩しましたね。海へも近く、海岸まで歩いて行きましたよ。香櫨園駅から先は歩行者専用のオアシスロードで危なくないですから。小さい頃の話ですが、父が小さなヨットをもっていたんです。もともと船乗りだったので、船が好きだったのでしょう。当時はヨットハーバーがあって、ヨットに乗せてもらったことが印象に残っています。
えびす様がいらっしゃる西宮神社が近く、この街は何だかいつも守られている感じがします。この土地はもと酒蔵だったそうなんです。ですから自宅にお社を設けて龍神さんをお祀りし、「住まわせていただいている」と日々手を合わせています。
実は家を建て替えたとき、白い蛇が出てきたんです。「神の遣い」とお酒をまいて放してあげたんですよ。
好アクセスが活動をサポート
住んでいて感じることは、交通の便利さです。数年前にJRさくら夙川駅ができました。それまでは遠方から新幹線で帰ってきても、荷物があると芦屋へ出てタクシーだったので、本当に助かります。アトリエには全国から師範が学びに来られますが、便利でみなさんに喜ばれます。いつの間にかJRの駅ができたのですが、それもこの地の力なのかもしれませんし、神様が文化活動を後押ししてくれているのかなと(笑)。阪急夙川駅も特急が停車するようになって快適になりました。道路も山手幹線ができて国道2号も通り、南北も建石筋が走っていて車での移動もとってもスムーズです。
便利なだけでなく緑が多くて良い環境です。近くの松秀幼稚園は自然に親しむというのが教育方針なのですが、親しむ自然があるんです。園庭が広く水辺もあり、木々に囲まれて森のようなんですよ。
木の温もりを生活の中に
お買い物も便利です。近隣にもいろいろお店がありますし、芦屋の大丸や西宮ガーデンズもひと駅ですぐなんです。飲食店も和食、イタリアン、フレンチなどまわりにとってもいいお店があって、おいしいパン屋さんや洋菓子屋さんもありますし…。自然も残っているし、落ち着いた環境なので、帰って来るとホッとするんですよ。静かですが、必要なものが揃っていて恵まれた環境だと思います。
私たちは暮らしに浸透していく木彫を目指しています。昔は仏像や能面というイメージでしたが、私たちは日々飾ったり使ったりする作品を彫っているんです。自宅のドアも木彫です。大きい物なので、外で叩き鑿で彫りました。デザインはみなさんが夢の世界へ行けるようにというイメージなんです。木は、原点です。作品をひとつ置いておくことで、手づくりの温かさや自然を感じてもらいたいですね。
渡辺 二笙 さん
「木彫はちのす会」主宰