2020年
11月号
11月号
神戸偉人伝外伝 ~知られざる偉業~⑦白洲次郎前編
名誉・功績を墓場まで持っていった白洲次郎の理念
政治と自動車への情熱
「葬式無用、戒名不用」。たった二行の遺言を記し、白洲次郎(1902~1985年)は83歳で亡くなった。この遺言通り、兵庫県三田市にある彼の墓碑に戒名はなく、妻の正子の考えで、不動明王を表す梵字のみが刻まれている。遺言同様、彼は生前も自分の名を残すことに執着しなかった。残された資料は少なく、彼に関する書籍が発刊され始めたのは、ここ20年程前からだ。決して目立たず、時の権力の影で人知れず日本を支え続けた彼の生き様が今、改めて注目される理由は何なのか。その真意を探ってみたい。
近年の白洲人気から見れば意外だが、生前、彼の名が語られる機会は少なかったという。
(後編へ続く)
戸津井康之