1月号
私の神戸創生論① 未来に向けて動き始めた神戸、新しいまちが生まれようとしている
いよいよ未来に向けて動き始めた神戸。どんな新しいまちが生まれるのでしょうか。久元喜造市長にお話しいただきました。
2018年を振り返って
良かったことや幾分残念だったことなどいろいろありました。そんな中で、やはり最も印象に残る素晴らしい出来事は、神戸医療産業都市推進機構理事長を務めていただき、当初からその発展にご尽力いただいています本庶佑先生のノーベル賞受賞ですね。
受賞が決まったというニュースが日本中を駆け巡ったとき、すぐに先生の携帯に電話してみました。恐らくつながらないだろうと思っていたのですが、先生ご自身に受けていただき、お祝いのメッセージを直接お伝えすることができました。その後、神戸での記者会見で先生が「たくさんお祝いのお電話をいただきましたが、出ることができた2本のうち1本が久元市長からでした。神戸とのご縁を感じました」と話しておられるのを聞き、私もとても嬉しく思っております。
すでに着手、さらに加速
新たな出会いとワクワク感
若い人が住みたいと思うまちづくりには、二つの要素があります。まず、新しい出会いがあり、ワクワク感があること。そして、実際に住んでみたら快適な暮らしがあるということ。非日常性と日常性、両方が求められるということです。
非日常性でいえば、賑わいがあり楽しいというまちづくりが必要です。神戸は20年間、震災からの復旧復興、財政再建に取り組んできました。なかなか他のテーマに取り組むことができずにきましたが、ようやく三宮再整備に着手することができました。もちろん便利にすることは重要ですが、そこに何かデザイン性やワクワク感がなくては、賑わいは生まれません。例えば、西日本最大級のバスターミナルをつくるだけでなく、その中に世界一美しい図書館「スカイライブラリー」をつくる、また今の神戸文化ホールに匹敵するような大ホールをつくり、さまざまなコンサートや舞台芸術を披露できるようにすることなどを計画しています。
すでに東遊園地では全面芝生化を行い、アーバンピクニックやファーマーズマーケットを開催しています。生産者の皆さんやお店をやっている皆さんなど、たくさんの方たちが来てくれるようになり、新しい出会いが生まれました。神戸開港150年記念事業の一環として、一昨年から、メリケンパーク整備事業に着手し、桜並木をつくり、スターバックスカフェを誘致しました。海岸沿いの「BE KOBE」の文字をかたどったモニュメントはインスタ映えするスポットとして話題になっています。
地道な努力の上に成り立つ
ワクワク感のあるまちづくり
日常性でいうと、子育ての面でしっかり対応していかなくては若者に選ばれるまちにはなりません。しかし課題は多く、待機児童も一時は13人まで減少したのですが、また増えつつあります。人手不足は大きな問題ですから、単に定員を増やすのではなく、保育園・幼稚園で働く人の処遇改善が必要です。全国トップクラスの一時金、家賃補助、パート勤務する場合の支援など処遇改善予算を増やしてきました。子どもさんの教育の水準も上げていかなくてはなりませんし、安心して暮らせるように治安の改善が重要です。防犯カメラの設置や地域ぐるみでの子どもの見守りなども進めています。こういった地道な努力の上に、ワクワク感のあるまちづくりができると考えています。
長大橋と豪華客船。10年後、
新しい神戸の風景が生まれる
長く望まれてきた大阪湾岸道路西伸部も平成28年度に事業化が決定し、平成30年度から本格的に着手しました。計画通り、10年程度で完成にこぎ着けたいと思っています。国土交通省からも、国直轄道路と港湾の予算、また阪神高速道路の予算も計上していただき、順調に滑り出しました。神戸市としてもできるだけスピーディーな事業の進捗に努力していきます。
大きな橋が完成するわけですから、シルエットとしても美しいものを考えていただいていると思います。橋の高さも、ポートターミナルにクルーズ船が寄港する際に、支障がないように設計されています。長大橋と豪華客船が一緒に一枚の写真の中に収まる。完成後は神戸のまちの風景もかなり変わってくると思います。
神戸の歴史の新しい1ページ
ラグビーワールドカップ2019
イングランド対アメリカ、スコットランド対サモアをはじめ、世界の強豪チームの4試合が神戸で行われます。海外からもたくさんの方々が観戦に来られるでしょう。英国外務省の事務次官とお話ししたところ、万人単位での英国の方が日本にやって来るだろうということです。ラグビーに対する熱意はすごいものがありますね。世界最高峰の試合を神戸で観戦していただくのですから、ノエビアスタジアム神戸をハイブリッド芝で整備し、最高のコンディションを整えました。
さらに最大限のおもてなしをしたいと思っています。試合の前後には神戸のまちを楽しんでいただこう、特に試合後は海岸線の景観や神戸グルメ、アートなどナイトシーンも楽しんでいただけたらいいですね。現在、神戸観光局会長を務めていただいている㈱アシックス代表取締役会長CEOの尾山基さんが、新しい発想で神戸を楽しんでいただく取り組みを進めてくださっています。心強く思っているところです。
今、神戸は大きく変わろうとしています。市民の皆さんにとって、より住みやすく、そして賑わいが人を呼び、新たな出会いも生まれるまちづくりを進めていきます。
※これらのイメージ図は、「雲井通5丁目地区再整備事業 事業協力者募集」において、選定された応募者(三菱地所(株)グループ)が公募の際に提案したものであり、 そのまま実現されると決まったものではありません