8月号
マツダが目指すのは、「人間中心のクルマづくり」
マツダブランドの今と未来を体感
まずは、西日本の豪雨災害に被災されました方々にお見舞いを申し上げます。
今回のファンフェスタは中止も考えましたが、開催することで被災した広島や、広島にあるマツダ(株)本社を応援することができるのではないかと考えました。日頃からお世話になっているお客様に感謝を込め、マツダブランドの今と未来を体感していただくために、そして、淡路島をはじめとする兵庫県への貢献にもつながると考え開催しました。
今回の注目は、「マツダ 魁 CONCEPT(マツダ カイ コンセプト)」を広島から神戸にもってきたことです。災害の影響もあり、道路事情が悪い中、苦労して広島から運んできていただきました。私はこの車を見たときに、あまりの美しいデザインに、ぐっと胸に込み上げてくるものがありました。これはコンセプトカーですが、来年の初旬に発売される次世代のアクセラのデザインモデルとなっております。またCX-8、CX-5、その他、マツダを代表する新世代のSUVが一堂にそろいました。
マツダの開発哲学「人馬一体」
マツダの開発哲学の中に、「人馬一体」という言葉があります。乗り手とクルマが一体となったスムーズで巧みな運転、思い通りにクルマが動いてくれる爽快感を実現するために、まずは理想的なドライビングポジションを考えました。人間をどこに配置するか、それによってエンジンやタイヤ、キャビン、アクセル、ブレーキ、ステアリングをどこに配置するかが決まってきます。そして、ドライバーにとってもっともいい状態とは何かを考えました。リラックスして無駄な力が入らない、疲れにくい状態を追求した結果、人間工学に基づいて関節の角度を決めることで最適なドライビングポジションを決めています。
また、遠い所も近い所も見やすいゾーンを規定。このドライビングポジションに基づき、各操作ユニットを配置しました。つまり足を伸ばすと、自然とアクセルとブレーキがあるような配置を実現しています。これが「人間中心のクルマづくり」です。ドライバーが最適なドライビングポジションとなるよう、2012年に発売されたCX-5以降のマツダ車はすべて同じ配置になっています。
躍度(やくど)を調整するオルガン式アクセルペダル
マツダでは、加速度の変化にともなう「躍度」にも配慮しています。同じ力でも一気に押すとよろめきますが、じわっと押すとよろめきません。アクセルを一気に踏むと一気に加速し、ゆっくり踏むとじわっと加速します。マツダ車はこの躍度の調整を行っていますが、それを実現するのが、オルガン式アクセルペダルです。踵(かかと)を支点にアクセルを動かすことで、脛(すね)が疲れにくいというデータがあります。
最近ではアクセルとブレーキを踏み間違えて起こる事故が多発していますが、こちらにも一定の効果があります。従来の吊り下げ式ペダルよりも、踵の位置が安定するオルガン式アクセルペダルの方が、踏み間違いが少ないという利点もあります。
愚直なまでに、「安全」に取り組む
最後に、マツダの安全思想についてお話しします。危険な状況に陥ってから対処するのではなく、危険自体を回避するという考え方から開発されたのが、先進安全技術「i-ACTIVSENSE」です。ミリ波レーダーやカメラなどの検知デバイスを用いた、事故が避けづらい状況での衝突回避・被害軽減を図るため360度認知支援を行い、どんな環境にあってもドライバーの安全運転をサポートします。この「i-ACTIVSENSE」をマツダの新世代商品全車に標準装備しています。これは、国が定める厳しい基準「セーフティ・サポートカー(略称=サポカー)Sワイド」に該当しています。まさに、マツダの安全思想の表れとも言えます。
また、万が一、被害が避けられない場合でも、可能な限り被害を軽減する技術を有しています。車内の乗員、歩行者の被害を軽減する技術、これが、パッシブセーフティ技術になります。自動車アセスメント、独立行政法人自動車事故対策機構(JNCAP)が設ける衝突安全性能についても、平成29年度、国産車の中でCX-8が1位、CX-5が2位を獲得しました。さらに、マツダの新世代商品すべてが、最高ランクのファイブスター賞を受賞し、マツダがいかに安全に対し、愚直に取り組んでいるかお分かりいただけると思います。
マツダは、「人間が最高のコンピュータである。クルマはそれをサポートする」という考えです。現在、自動運転という言葉が毎日のように新聞紙上を賑わしていますが、車が勝手に動き出すという考えではなく、あくまでもドライバーをサポートすることが、マツダのクルマづくりです。マツダのクルマづくりは走る歓びと優れた環境・安全性能の両立に取り組んで参ります。
株式会社 神戸マツダ 代表取締役社長
橋本 覚