2013年
7月号

ぶらり私のKOBE散歩 Vol.10

カテゴリ:KOBE散歩,

美しさは食べることから

伊藤 紀美子
Ito Kimiko

「本物の美の追求」を目指して、天然水と質の良い素材を使った基礎化粧品などを手掛ける伊藤さん。「美は内側から出るものですから、毎日の食事はとても大切です」と、食材やしつらえ、手作りなどにこだわったお店を選ぶ。お好きなお店の中からいくつかをご紹介いただいた。

六甲のやさしいカフェ「プラスフレッシュ」

お仕事の行き帰りの道中、車を停めてたびたび立ち寄ってしまうのが、六甲(山麓線沿い)のスイーツ店「プラスフレッシュ」。焼き菓子、ケーキ、プリンなど店内のスイーツをすべて作っているパティシエールの宮澤和貴さんと、フォトグラファーが本職のチャーリー宮澤さん、すてきなご夫妻が経営する。もとは娘さんが教えてくれたといい、「美味しいのはもちろん、お店の雰囲気が温かくて大好きなんです」と伊藤さん。豆乳プディングなど豆乳を使ったお菓子が人気で、パスタ、ココットといったランチ(1050円~)や、モーニングの調理部門はチャーリーさんが担当。「自分の家族に安心して食べてもらえるお料理を」と、食材にも気を配っている。
ショップ、カフェが隣接する店舗は、一軒家を改装したもの。お家にまねかれたような屋内のカフェスペースと、木や草花が揺れる自然のお庭がほっとするオープンカフェスペースがある。


手前/マンゴープリンパフェ 奥/季節の贅沢プリンアラモード(各420円)


■プラスフレッシュ

TEL.078-845-3779
神戸市灘区山田町1丁目1-22
営業 9:00~18:00(カフェ)
10:00〜19:00(ショップ)
*日祝18:00まで
定休 毎週月曜、第1・第3火曜日(祝日は営業)

四季折々のお料理は驚きの連続

ご主人とお母様、奥様が切り盛りする、小さいけれど温かい雰囲気が好き、と、次に紹介されたのは日本料理「瑞相」。老舗和食店に18歳から修行に入ったご主人・平田和幸さんは、茶懐石の料理を基本にした料理を展開する。「あっと驚くような、独創的なお料理がいただけるんです」と伊藤さん。
「和の、なんともいえない幻想的な世界に惹かれます。その世界を、お料理の中で形になれば」と、平田さん。カウンターごしに会話もはずむ。お店や料理のしつらえには、季節を感じさせるお茶席のおもてなしの心が随所に表れている。この日は、暑い夏に涼しさを感じる「七夕の八寸」を用意いただいた。涼やかな器に、笹と短冊が揺れ、あゆやハモ、夏野菜など旬の味を堪能。季節が感じられにくくなってしまった現代にあって、伝統的な和のおもてなしは、季節を楽しみ、味わう喜びを再確認させてくれる。おまかせでお昼は6千円、夜は8千円~。

七夕の八寸


「美味しいお料理に、トラディショナルをプラスして」とご主人


カウンター8席、ゆっくり楽しんでいただくため完全予約制


お料理の最後には季節のお菓子とお茶を点てていただく


■御料理 瑞相

TEL.078-252-0887
神戸市中央区生田町1-1-22
【完全予約制】
営業 昼12:00~13:00(L.O.)
夜18:00~20:00(L.O.)
定休 日曜、祝日

地元名士たちも惚れこむ御影の名レストラン

御影生まれ、御影育ちの伊藤さん。「ふるさとは御影。街は時代とともに変わっているけれど、ふと懐かしい道や、昔のままの街角を見かけると嬉しくてたたずんでしまう。そういう地に住んでいられるのは、幸せなことだと思いますね」と話す。
お父様の代から通うレストラン「シェYamato」は、創業36年。界隈に住む名士なども多く通う、御影を代表する名店。シェフ・本田大和さんも名物(?)で、伝統的な欧風料理に少し日本人好みのテイストを加え、お箸で気軽に食べられるのも嬉しい。テーブル、椅子など家具はすべてスペイン製で、創業当時からのもの。取材の日にも、老紳士がカウンターで一人でゆっくりとランチを楽しんでいる姿も見え、お一人でもゆっくり食事ができるという伊藤さんの言葉にもうなずける。ビーフシチューは三角バラ肉を約2時間煮込んだもので、とろりと柔らかく、味わい深く濃厚ながらあっさり食べられるので年配の方にもファンが多いという。

エンドウ豆の冷たいスープ


年月がたつほど味が出てくる重厚なスペイン製家具が落ち着く店内


エンドウ豆の冷たいスープ


「シェ・Yamato」の本田大和シェフと


■欧風料理 シェ・Ymamato

TEL.078-822-1177
営業 11:30~14:00(L.O.14:00)
17:00~21:30(L.O.21:00)
定休 月曜日(祝日は営業、翌日休)

トマトスープがお気に入り CAFE Zoé

「女性一人でもゆっくりできるカフェ」と伊藤さんが紹介するのは、磯上のカフェ「zoé」。古いビルの3階にあって、レトロなドアを開けると、このままここに居着いてしまいたいような穏やかな時間が流れている。北欧やヨーロッパの家具、食器が並び、広げられたトランクの中に詰まった文庫本や雑誌は貸し出しもOKだとか。
伊藤さんが大好きな自家製トマトスープは、オーナーの荒井さんがデンマークで味わってとりこになってしまったスープ。10種類の野菜と香辛料を煮込んだトマトスープを作るために、何回もデンマークに渡り、数百回の試行錯誤を重ねたというこだわりのスープだ。

自家製ジンジャーエール(600円)、フレンチトースト塩アイスクリーム添え(650円/15:00~)


自家製トマトスープ(パン、サラダ、おかず付950円/15:00~)


時間の流れがゆったりしている


オーナーのミカエラさん(中央)、スタッフの皆さん


■CAFE Zoé

TEL.078-261-3230
神戸市中央区御幸通6-1-3 山田ビル3F
営業 11:30~20:00
※土・日曜、祝日は19:00まで
ランチ11:30~15:00
定休 無休(年末年始を除く)、月曜日不定休

「プラスイ」が世界で認められた

今年5月、田嶋株式会社が歓喜に沸いた。同社が販売するナチュラルミネラルウォーター「プラスイ」が、食品のミシェランガイドとも呼ばれる「ITQI」で金賞二ツ星を受賞したのだ。ITQIはブリュッセルに本部を置く国際味覚審査機構で、世界中の味覚的に優れた食品、飲料を、ヨーロッパの調理師協会やソムリエ協会の会員であるシェフ、ソムリエ、飲料専門家など120名の審査によって評価される。
伊藤さんが数年前に出会ったこの水は、北海道の横津山系で1500万年前といわれる地層から出る湧き水。非加熱殺菌のためミネラルバランスが崩れることなく、新鮮なままボトルに詰められて運ばれる。健康をサポートするだけでなく、今回、世界的な機構に認められた“美味しさ”を兼ね添えたミネラルウォーターは、飲料だけでなく、基礎化粧品「プラスイ」シリーズにも使用されている。身体の中から美しく、をモットーにした伊藤さんがこだわりぬいた、「プラスイ」ブランドは多くの女性たちに支持されている。
「私たちは今後も、まじめに正直に、良い製品を作っていくという姿勢に徹していきたいと思っています」と話す伊藤さん。行きつけのお店も、そんな「“人の手”が作り出すものの美味しさ、豊かさ」が感じられるお店ばかりだった。

ITQI(International Taste & Quality Institute)授賞式に出席した伊藤さん(5月30日)



シェフ、ソムリエ、バリスタなど120名が審査するITQI


ベルギー・ブリュッセルで行われた授賞式



いとう きみこ

神戸生まれ。神戸女学院大学英文科卒業。1995年より父の後を継ぎ、田嶋株式会社取締役社長に就任。ファッション、ビューティーを新分野に加え事業を展開。神戸発の基礎化粧品「プラスイ」の開発等で注目を集める。神戸商工会議所女性経営者倶楽部前会長、一男三女の母。

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