2013年
7月号
日能研関西本部 (左)代表 小松原 景久さん (右)副代表 小松原 健裕さん

成長を見つめる指導システム

カテゴリ:教育・スポーツ

能研関西」は、兵庫・大阪・京都・岡山・広島エリアで私立中学合格に高い実績を持ち、生徒と保護者から高い評価を得ている。「知識を無理に詰め込まず子供たちの力を伸ばす」という指導姿勢について副代表の小松原健裕さんにお話をお聞きした。

―日能研関西が本部を大阪ではなく神戸に置く理由は。
小松原 町の規模として大きいのは大阪ですが、私立中学受験でいえば兵庫県が一番盛んです。名門私立校の灘や神戸女学院をはじめ、甲陽学院、六甲、関西学院などの有名校や女子校など人気校が多いこと。阪神間は特に私学受験率が高く、私学を卒業された親御さんが子供も私学に通わせたいというケースが多いようです。
―私学人気の理由はどこにあるのでしょうか。
小松原 ほとんどの私学が中高一貫です。高校入試がない6年間を過ごせますから子供たちは余裕を持って、思春期を見守られながら成長できます。また、私学にはそれぞれ個性があります。勉強が得意ならば灘などの難関校で鍛えていけばいいですし、勉強だけにこだわらず大学を含めた10年間で自分のやりたいことに打ち込める環境を選ぶこともできます。一人ひとりに合った学校を選べるという意味でも私学には大きな価値があります。
―私立中学への合格力を鍛えるというのが目標ですか。
小松原 保護者から最も期待されているのは志望校に合格させることです。進学塾ですから当たり前のことだと思います。受験指導の際、日能研としては、特定の学校受験を押し付けることはしません。単なる詰め込みもしません。一人ひとりの成長を見ながら指導し、たとえ調子が悪い時でもきちんとフォローします。そんなところが期待されていると思っています。
―子供自身は、将来の目標を定めているのでしょうか。
小松原 何とも言えませんね。ただし、子供たちが色々なことに興味を持っているのは確かです。話題になったiPS細胞の研究や、ギリシャ経済の破たんとか、アベノミクスとか…、色々なことを漠然とですがよく知っています。今の子供たちは視野が広い。無邪気に興味を持ったことが、子供たち自身の将来に役立つものと期待しています。
―「N」の通学カバンをよく見かけますが、日能研関西は全部で何校ですか。最も大規模なのは。
小松原 25校です。大きなところでは西宮北口の2校で、合わせて約900名の生徒が在籍しています。カバンは入塾時に渡しているもので、交通安全も考慮して暗くなると「N」が光るようになっています。強制ではないのですがほとんどの子供が背負って来てくれているようです。お陰さまで〝動く広告〟などと言われています(笑)。
―安全・安心については他にも色々と配慮されているそうですね。
小松原 安心カードで入室、退室を管理し、登録いただいている保護者までメールが届くようにしています。また最近は、帰り道は最寄り駅まで引率することを徹底するようにしています。どの教室も駅から近いのですが、やはり何かあっては大変ですから。
―学習指導についての方針は。
小松原 一部小学2年生のコースがありますが、小学3年生からスタートし、最終6年生での入試をゴールに据え、学年毎に狙いを定めたカリキュラムを組んでいます。3年生では知識というよりは考える力を重視、きちんと計算する、黒板の字を正確に書くなど勉強の基本姿勢を養います。更に4年生では知識の詰め込みには偏らずに、勉強習慣の確立と思考力・表現力の育成を重視しています。ここまでは、他の進学塾に比べてゆとりを持たせたカリキュラムだと思います。なぜなら、低学年で学習習慣を身に着ければ、成績はそのうち伸びるからです。5年生になると勉強の量を増やし、内容も高度にしていき、6年生では入試に向け、小学校での学習範囲内をより踏み込んだ内容で指導します。
―パソコンやタブレットなども取り入れているのですか。
小松原 黒板とノートを使う授業が基本です。文字や図などを自分の手で書くということも大切なことですからね。
―成果は上がっていますか。
小松原 私立中学受験を目的とした塾という意味では、合格実績は良くなっているので成果が上がっていると言えます。子供たち一人ひとりについては蓄積したデータを見る限り、3年生から6年生にかけて徐々に力を付けていく子供が増えています。あまり勉強したくないという子供でも塾では、周囲を見て自分もやろうという気持ちになるようです。
―それが、個別指導ではなく集団授業の形態を取っている理由ですか。
小松原 そうですね。小学生ですから自分の意思だけで勉強できる子供はまずいません。まわりを見て皆が頑張っているから自分も頑張ろうと思う。私達や保護者が「勉強しなさい」と言うより、横に座っている友達が勉強しているのを見ることが意欲につながります。塾といえば、足を引っ張り合っているイメージを持たれるかも知れませんが、子供たちは仲良しです。辛いことも皆で乗り越えるというのが集団授業の良い点です。
―教え上手な先生の育成も重要ですね。
小松原 これは大切なことです。定期的に授業をチェックして、悪い点は指導を入れています。また、保護者生徒にもアンケートを取り、問題点は改善するようにしています。
―2013年、オリコン中学受験塾ランキングで顧客満足度1位に選ばれたのも成果の表れですね。
小松原 ありがとうございます。
―日能研関西の今後に向けて。
小松原 日能研では常々、「もっと子供の力は伸ばせるはず」と話し合っています。教える側の一方通行にならないように子どもの意欲を高め、成績を伸ばしていくことを大事にしています。ランキング1位に満足することなく、指導システムに一層磨きをかけていきます。

日能研関西本部 (左)代表 小松原 景久さん (右)副代表 小松原 健裕さん


日能研関西は、中学受験が盛んな兵庫県下で25校を運営する


個別指導ではなく集団授業のスタイルにより、周囲が勉強するという環境に自らも刺激されていく


夜間でも交通安全に配慮した「N」の文字が浮かび上がる



小松原 健裕(こまつばら たけひろ)
株式会社 日能研関西 副代表

甲陽学院高校、慶応義塾大学と中高大を私学で学ぶ。同大学法学部卒業後、日本IBMに入社。主に金融機関システムの提案に携わる。事業承継のため日能研関西に入社。授業担当科目は算数。京都本部長を経て、副代表に就任。日能研関西本部業務全般に加え、日能研グループとの連携、私学教育の振興にも携わり今日にいたる。

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