7月号
神戸らしい 〝本の森〟 づくりが 始まります
建物の工事が着々と進む「こども本の森 神戸」。7月6日から本の寄贈募集も始まり、2022年春の開館に向け、ソフト面での計画も動き始めています。図書館司書として準備に携わる三木彩香さんにお聞きしました。
見る、読む、触れる、嗅ぐ…
本から感じ取るものは大切
―三木さんは市立図書館でお仕事をされていたのですか。
はい。中央図書館に就職し、図書館司書として6年間仕事をしていました。今年4月から文化交流課を兼務し、来年春の「こども本の森 神戸」開館に向けての準備に携わっています。
―子どものころからたくさん本を読まれたのでしょうね。
どんな本がお好きですか。
本が身近にある環境に育ち、将来は本に関わる仕事がしたいと思っていました。中央図書館で担当していた児童書を読む機会が多かったのですが、学生のころから好きだったのはミステリー。最近また読み返してみたり、今さらアガサ・クリスティを読んでみたり。すごいスピードでたくさん読むというのは得意ではなくて、「どうだったかな?」と気になったら前のページに戻ってみる。そんな読み方です。
―幼いころから本に親しむことの大切さとは。
科学や文学など分野を問わず、子どもはみんな大きな好奇心を持っていて、その時に触れるからこそ感じ取れるものや得られるものがあると思います。幼いころからの蓄積が人生の土台になり、一生の財産になります。私自身も大人になってから、子どものころに読んだ絵本に偶然出会うと温かい気持ちになれます。子どものころに見たり読んだりした本は心の奥深くにずっとあって、生きる力を支えてくれていると言っても過言ではないと思っています。
―社会ではペーパーレス化が進んでいます。本はどうなのでしょうか。
そうですね。小さな子どもでもタブレットを使う時代ですからね。でも私は、紙の本は大切だと思っています。なぜなら、見たり、読んだりするだけでなく、ページを開くときのわくわく感や指先の感触、紙の匂い…言葉では言い尽くせないほど五感で感じ取れるものが本にはたくさんあるからです。
自由にのびのびと
本に親しめるのが〝本の森〟
―本の寄贈募集も始まりますね。
自治会や婦人会などでポスター掲示をお願いするのと併せて、神戸市と本の森のホームページで告知して1万冊を目標に募集が始まります。破れや汚れのない状態の本を寄付いただけるとありがたいですね。ただし、お名前が書き込まれている本は状態が良くても残念ながら受け入れができません。
―安藤忠雄さんから、「ノーベル賞受賞者が愛読した本のコーナーをつくる」という提案もありました。その他にも予定しているコーナーがあるのですか。
これからテーマを決めて、施設を運営する指定管理者と相談しながら、寄付いただく本とあわせてどういった本を購入し、どういう配置にするかなどを決めていく予定です。絵本作家のスズキコージさんや児童文学の岡田淳さんなど、地元ゆかりの作家さんのコーナーができるといいですね。イベントも市内の関連施設や企業などいろいろなところと連携して、本に関することに限らず開催できたらいいんじゃないかな。「こども本の森 中之島」を参考にしながら、神戸らしい〝本の森〟づくりを進めていきたいと思っています。
―どの年齢層を対象にしているのですか。
主に未就学児から小学生までを対象にしています。神戸の子どもたちに本に親しんでもらうのはもちろんのことですが、大人も一緒に楽しんでもらえる施設にしたいと思っています。
―神戸以外の子どもさんや、大人だけで利用してもいいのですか。
もちろん、どなたにでも利用していただけます。絵本や児童書は子どもたちだけのものではなく、大人にとっても楽しくて、豊かな気持ちにさせてくれるものです。「こども本の森」は貸出カードを作ったり、本を貸し出ししたりする、いわゆる「図書館」ではありません。自由に本に触れ、気が向いた場所…芝生広場へ持ち出してもいいんですよ、のびのびゆったりした気分で本を楽しんでください。