11月号
Rhyme of LIFE Spice of SPACE|平尾工務店|chapter5 和室
生活に一層の優雅さを添えるパターンとなる家
すなわち、我々が今日暮らしているこの国にふさわしい家
我々の生活の事情に叶った家
近代建築の巨匠、フランク・ロイド・ライトが追い求めた
理想と理念を受け継ぎつつ
生活にリズムを与えるこだわりの空間を
エスプリとクラフトマンシップを込めて…
和室|神戸東モデルハウス
和とモダニズムの幸せな調和
自由な暮らしを謳歌するなら、空間にも自由を。新しいライフスタイルを求められている昨今、自在に活用できる和室に注目したい。客間としてはもちろん、座卓を置けば家族団らんの場となり、炬燵と鍋は和室だけの冬の幸福。畳に寝転んで午睡も心地いいが、布団を敷けば寝室に変化、親族やゲストの宿泊にも。華道や書道に和室は欠かせず、このところ人気の将棋や囲碁など和室じゃないと様にならない。
平尾工務店神戸東モデルハウスは、近代建築の巨匠、フランク・ロイド・ライトの哲学を正統に受け継いでいるが、ちゃんと和室を設えている。ライトはアメリカ人なのになぜ和室?というのは早計。風土と住まう人の暮らしが有機的に結びつく住まいを提唱した彼からすれば、日本なら和室があって当然。浮世絵を好み、岡倉天心の言葉を噛みしめて、日本文化に心を寄せた彼の思想、有機的建築は和室と相性が良いのだ。
この和室は、一歩入ると気持ちが凛とする。低めの天井が空間を引き締めているのだろう。い草の感触が心地良い畳は、濃紺の縁がアクセントに。床の間の棚の下には照明があしらわれ、床の黒御影に光の幾何学模様を映す。ライトらしい同様のパターンは天井照明や障子の意匠にも用いられ、和とモダニズムの幸せな調和を生む。昼下がりともなれば窓から差し込む光が漆喰の壁に葉陰を落とす。地窓からはそよ風と虫の音が涼を招き、天窓は月明かりを誘う。
しなやかに機能が変化する和室こそ、不透明なこの時代に必要な空間なのかもしれない。