7月号
harmony(はーもにぃ) Vol.17 子どもへの虐待が 減っているアメリカ
先月号で、日本では子どもへの虐待が急増していることを書きましたが、アメリカでは反対に1900年代以降児童虐待や犯罪が激減していると言われています。その根拠を論じた本が「子ども犯罪被害者学のすすめ」(デイビット・フィンケルフォー編著、森田ゆり他訳・岩波書店)です。同書によると、子どもへの性的虐待件数は90年から2005年にかけて51%も減少。育児放棄の減少は1%にとどまりますが、身体的虐待件数は1992年から2005年にかけて46%も減っています。10代の性的暴行被害は半分、配偶者間暴力は1993年から2004年にかけて55%も減っています。1980年代のアメリカでは子どもへの犯罪が増え続けたにもかかわらず、なぜこうも減ったのか。注目すべき要因として、①アメリカの好景気 ②ソーシャルワーカーや警官ら子どもの安全や加害者取り締まりに関わる人間が増え、日本の児童相談所のような社会的介入機関も増設された ③精神科薬物治療が普及した事、などが挙げられています。
2000年代初め、失業率が上昇した時期でも、犯罪の大半は緩やかではあるが減少が続いているようです。これらの3つの要因については今後時間をかけて精査検証していく必要性を著者は説いています。
訳者の一人である森田さんは訳者あとがきで「予防プログラムの徹底、被害者ケアと加害者更生の充実など、対応のあらゆる面において、NPOと行政と議会が一丸となって取り組んできた」と米国の対応を評価しています。
日本でも虐待を防止するため法律、制度や仕組みの改革、工夫、行政と市民が知恵を出し合い、予防のため協働、加害者更生プログラム、などあらゆる面において、地道な努力を続けていくことにより、子どもへの虐待が減少していくことを願わずにはおれません。
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