2月号
音楽のあるまち♬16 アカペラが街の文化として定着するまで成長させたい
チキン ガーリック ステーキ 前澤 弘明 さん
神戸で生まれ、神戸で育ったアカペラグループ「チキン ガーリック ステーキ」(以下、チキガリ)。アカペラ先駆者としてトップを走りながら、街の文化として定着させようと精力的に活動しています。
―結成30年に近いチキガリはアカペラの草分け的存在ですね。
1990年の結成のころは、「アカペラって?」とよく聞かれました。数年後アカペラ人口も少しずつ増えてきて、大学生や社会人が一緒にステージをするようになりました。今では京大・阪大・神戸大、関関同立はじめ関西の大学にも100人規模のアカペラサークルがあります。グリーやコーラスよりも盛んなのかもしれません。世間一般にはブームが去ったと思われていますが、第二世代が着実に育ってきていますね。
―みんながやりたいと思うアカペラの魅力は。
〝ポップさ〟でしょうか。私は高校のコーラス部で、クラシックな楽曲を練習しつつ、定期コンサートではポップスステージを設け、歌いたい曲があればプロの編曲家にピアノ伴奏混成四部合唱用にアレンジを委嘱していました。自分が聴いていて「好き」と思う曲を歌えるのですから、楽しいわけです。今の大学のサークルではプロの講師を招いて歌い方やアレンジ法の指導を委嘱するうちにサークルとしてのスキルが蓄積されてきました。流行っている曲を自分たちでアレンジするようになり、アカペラは歌っても聴いても楽しくて、「自分もやりたい!」と思わせる存在になってきています。
―チキガリの5人のメンバーどうやって集まったのですか。
結成時からのメンバーがリーダーの川上と私、1回目のメンバーチェンジで私の同級生・濱田が入り、その後、ギタリストの渡辺が入り、その同級生の長谷川が入り、今のメンバーで固まり、20年活動してきました。
―なぜ、グループ名をチキンガーリックステーキに?
結成についてファミレスでチキンガーリックステーキを食べながら話し合っていました。メンバーみんな好きなんだから、そのままグループ名にしようと(笑)。
―幅広いジャンルのカバー曲、オリジナル曲など多くのレパートリーがありますが、選曲はどのように?
イベントかライブハウスか、ホールなのか、お客さんの年齢層などを考慮し、基本はいい曲だけを選ぶ。メンバー5人のうち1人が「この曲は絶対に駄目」という曲は外します。推定5分の1のお客さんにとって、いい曲ではないということですからね。
―数あるアカペラグループの中でもチキガリの魅力は。
コーラスグループには、似たような声質の人が集まってうまくハモる、全く違う声質を融合させておもしろいものをつくるという二つの方法があります。どちらもいいサウンドができますが、その質が違います。チキガリは後者です。もう一つの特徴は、リードボーカル、ボイスパーカッションなどパートが固定していないことです。この曲をこんなサウンドで作りたい、そのためにはどの声質がどのパートに合うのかを考えて変えていきます。ぜひ、誰がどのパートを歌っているのかをちゃんと見ながら聴いてみてください!チキガリの楽しみ方の一つです。
―アカペラを神戸の文化の一つにしたいですね。
楽しむために始めた私たちが第一世代だとしたら、仲間ができいろいろなものが蓄積され、いま第二世代に引き継がれ育ちつつある段階です。「神戸はジャズの街」といわれますが、大御所と呼ばれる方たちがいて、その次の世代、例えば小曽根真さんが活躍し、さらに次の若手が育ち世界へ羽ばたいていっています。三世代のプロがいて、初めて〝街の文化〟として定着するものです。「神戸はアカペラの街」と呼ばれるまでには、少なくともまだ20年はかかるでしょうね。
―次の世代を育てなくてはいけませんね。
私たちは学校の芸術鑑賞会に出かけてアカペラを聴いてもらっています。私が高校教師だったからということもあり、小中高生でアカペラに触れる初めての経験にしてもらって、二度目に聴いたとき「あっ、あのときの…」と思い出してもらいたいという思いがあります。第一世代が頑張って長く続けることで、若い人たちは自分たちの力で育っていってくれます。
―アカペラの街・神戸のために、これからもトップを走り続けてください!
公式サイト
http://www.cgs.jp
2019年2月 神戸での主なスケジュール
2/9(土)神戸新開地・喜楽館
「笑う門にはチョコ来たる」
2/10(日)神戸・松廼家
「ディナー&ライブ」
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