2019年
2月号
舞楽左舞蘭陵王。聖ミカエル教会にて

雅楽で人の輪を広げ、まちに賑わいをつくり出そう

カテゴリ:文化・芸術・音楽, 文化人

生田神社権祢宜 酒井 康博 さん

歴史の流れの中で、外国人や外国文化を受け入れてきた生田神社。神主の酒井康博さんは「雅楽ががく」「舞楽ぶがく」を広く紹介するだけでなく、他のジャンルとのコラボで人の輪を広げ、新たな挑戦で神戸のまちの賑わいづくりにも貢献しています。

仏教と共に伝わり、日本独自の雅楽として発展

―雅楽とは。
雅楽は1500年ほど前、主に中国から日本に伝わってきました。仏教伝来と同じ時期です。それ以前、日本には音楽は存在していましたが、620年ごろから雅楽奏者が定住し、伝えていこうとする動きが出てきます。神社のための音楽というわけではなく、貴族や位の高い人たちが聴いたり、演奏したりした音楽で、庶民のものではなく、限られた人たちのもので、専門職「楽家がっけ」という枠の中で継承されてきました。日本独自の雅楽として発展し、能や歌舞伎として別の芸能も誕生していきます。現在、雅楽は宮内庁式部職楽部が継承の役目を担っています。

―演奏形態は。
伝わってきた当時は30種類ほどの楽器があったようですが、その後、管楽器のしょう篳篥しちりき龍笛りゅうてき、絃楽器の楽琵琶、楽筝、打楽器の鞨鼓かっこ、太鼓、鉦鼓しょうこにしぼられました。演奏はオーケストラと同じですね。

―酒井さんはなぜ雅楽を始められたのですか。
神主の学校で雅楽に触れ、篳篥を演奏するようになりました。卒業後、勤めた広島の厳島神社では雅楽に関わる仕事が神主の仕事と匹敵するほど重要視されています。神事のために演奏者が必要ということで龍笛を学ぶことになりました。厳島神社では雅楽の演奏に合わせて舞う「舞楽」が年間行事の中にある全国でも珍しい神社です。右舞、左舞に分けられて、神主の務めの一つとして、私は左舞を担当するようになりました。

―その後、生田神社へ来られて、雅楽や舞楽を?
5年ほど厳島神社で勤めた後、父親が勤めていたご縁で生田神社に戻って来ました。どこの神社でも雅楽や舞楽を使っているわけではないのですが、結婚式やお正月に参拝いただいたときの神楽舞に合わせる、毎月一日、十五日のお祭り、神様にお供えものをするときなどに雅楽を使います。どんな場面でも音楽や舞があると雰囲気が良くなりますからね。

初心者でも始められ、他のジャンルとのコラボもできる

―生田雅楽会とは。
神社とは別に任意団体として元宮内庁の方やそのお弟子さん方が平成元年に立ち上げられ、月1回程度、10人ほどが生田神社に集まり雅楽の修練の場とし、様々な講習会もあります。そこで、初心者でも雅楽に挑戦してもらおうと告知したところ、少しずつ興味を持って問い合わせもいただくようになりました。ところが初心者がいきなり参加するのは難しく、新たに初心者向けや楽器別の講習会を設定しました。生田神社秋祭りに演奏会を開くのですが、雅楽演奏に合わせて兵庫県洋舞家協会の方の踊りなど他のジャンルとのコラボをしていると話題になり、神戸新聞さんでも取り上げていただきました。すると、当初は50人程度、ほとんどが知り合い(笑)のお客さんだったのが、一気に500人ほどに増えどんどん認知されるようになりました。

―雅楽人口が増えてきたのですね。
雅楽会には現在は40人ほどが参加し、初心者にはマンツーマン指導や初心者向けのグループレッスンの場もあります。15年前から、神戸女子大学オープンカレッジで龍笛講座を担当させていただき、グループレッスンで熟達してくると、また新たに上級クラスを開設しています。

―学校での指導もやっておられるのですね。
子どもたちが使う楽器で雅楽演奏を指導されている熱心な音楽の先生がおられます。その小学校からの依頼を受け、年1回、音楽鑑賞会で演奏しています。今後も、日本の文化を深く知ってほしいと考えておられる学校から声をかけていただけたら出かけて行きたいと思います。

―舞楽を披露する機会はあまりないのですか。
秋の雅楽演奏会で舞っていたのですが、当初は司会をしながら、笛を吹き、衣装を着けて舞をする…ちょっと忙し過ぎてできなくなりました(笑)。依頼を頂き機会があれば、様々な場所へ舞いに行きます。

人の輪が広げやすいコンパクトなまち神戸だからできる

―日本雅楽協会とは。
全国の雅楽の関係者が集まって何かをしようという目的で加藤隆久名誉宮司を理事長に「日本雅楽協会」が発足しました。今のところは神戸、大阪、京都が主で、神戸ではインバウンド向けに雅楽演奏会を開いて聴いてもらい、近くで食事をして宿泊もしてもらう。こうして、まちの活性化につなげていきたいと思っています。

―雅楽を使っていろいろなことに挑戦されているのですね。
県立美術館に協力もいただきましたし、ビエンナーレが開催されていた当時は県公館や聖ミカエル教会でも雅楽を演奏しました。雅楽は元々、宗教から発生した音楽ではありませんし、ジャズやサンバのまちといわれる神戸では、雅楽は新しいカテゴリーですから、どんなことにでも挑戦できます。加藤名誉宮司は、「止まっていることは後ろを向くことと同じだ」という考えを持っておられますので、力強い応援をしていただいています。

―生田神社だからできるのですね。
生田は古くは「活田」といわれ、六甲山系の水系にあり「活き活きした地」という意味合いがありました。周辺に何もない所でしたが、神戸開港に伴って入ってきた外国人を当時の宮司が受け入れ、競馬場や領事館、ガス灯など外国文化を否定しなかったため、人の流れがやってきました。戦後は進駐軍の娯楽施設などもできました。こういった歴史的な流れがあり、街中で外国文化に囲まれた神社ができました。夏祭りでは、サンバやベリーダンス、レゲエ、全国で先駆けてのカラオケ大会など、常識では考えられない出し物があります。社殿の前でフラダンスなど、決して違和感はないですよ。こうして受け入れることによって、地域の中心は「生田さん」と思っていただき人の輪が広がり、賑わいが生まれます。コンパクトな神戸のまちだからできることだと思います。

舞楽左舞蘭陵王。聖ミカエル教会にて

龍笛を奏でる

蘭陵王を演じる

■さかい やすひろ

生田神社権祢宜。兵庫県神社庁雅楽講師、生田雅楽会事務局、日本雅楽協会理事。また、神戸女子大学オープンカレッジにて龍笛講座講師をつとめる

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