5月号
美味しいビールが生まれる秘密
キリンビール株式会社執行役員
神戸工場長
石島 寿也さん
兵庫県内のビール工場「キリンビアパーク神戸。今年1月、工場長に就任した石島寿也さんに、期待の新商品や人気の工場見学などについてお話しいただいた。
キリンが本気で作った新ジャンル「キリン 澄みきり」
120年間ビールを作り続けてきたキリンの技術を結集させた自信作が出来上がりました。「ラガービール」で培ってきたホップの技術、「一番搾り」での麦へのこだわり、「淡麗〈生〉」の大麦の美味しさを引き出す技術等々、それらを全て投入したのが5月14日新発売の「キリン澄みきり」です。飲みごたえがありながら後味に雑味がなく、力強く澄みきった、飲み飽きない味! しかも新ジャンルですから低い価格帯です。従来の新ジャンルに対しては「本格感がない」というお客様からの声を多くいただき、「キリンならでは」という差異化を打ち出したいという思いがありました。そこで、キリンが本気を出して作った新商品です。
また、アルコール0.00%の「キリンフリー」も、今まではビールの代わりというイメージで苦みなどのビールらしい味を作っていましたが、女性や若い方から「後味がちょっと気になる」という声をいただき、製造方法から見直し、より飲みやすくしました。
楽しいキリンビアパーク神戸は、皆に優しく
ビールの製造は釜に銘柄によって違う原料と水を投入する仕込から始まり、酵母を加えて発酵段階に入ります。この酵母はちょっとした温度差で活躍の度合いが変わりますので、厳密に温度管理されることで、安定した品質のビールが生まれます。
キリンビアパーク神戸では、仕込、発酵・貯蔵、パッケージングまでの製造工程を見学いただいています。中でも1分間に2千缶のビールが出来上がってくる光景には皆さん、驚かれている様子です。
手入れの行き届いた庭園やビオトープなど工場を取り巻く環境も好評です。
また、当施設は、福祉のまちづくり条例に基づいてアドバイザーのアドバイスとチェックを受けながらスタッフたちも努力しています。高齢者や障がい者に対する配慮ができている「ひょうご県民ユニバーサル施設」に県内で2番目に認定されました。どなたにも楽しんでいただける施設です。見学・試飲で商品について知っていただくことはもちろんですが、キリンビールの企業姿勢、例えばCSR活動や省エネ活動、エコや食の安全安心への取り組み、東北復興支援なども知っていただく機会になればと思っています。因みに昨年は、日経BPコンサルティング調べ「食の安全・安心ブランド調査2012」で高い評価をいただき、1位に躍進しました。
兵庫県の“地元ビールメーカー”として
キリンビアパーク神戸は兵庫県のビール工場です。そのご縁もあり、キリンビールマーケティング(株)神戸支社と恊働で「兵庫県=KIRIN」をキャッチフレーズに、地元兵庫と連携して、地域活性化を目指しています。
今年1月からJA兵庫六甲さん、神戸メリケンパークオリエンタルホテルさんと共同で、県が推奨する地元の農産物を使った地産地消カクテルの開発企画を始めました。神戸市北区産「二郎(にろ)いちご」、兵庫県産「トマト」と続き、5月は「小松菜」です。“地元ビールメーカー”として、兵庫県の特産品をいかし、地産地消推進に貢献したいと思っています。これからも地元の皆さんに親しんでいただけるビールづくりと、企業づくりに努めて参ります。
石島 寿也(いしじま としや)
キリンビール株式会社執行役員 神戸工場長
1983年 キリンビール㈱ エンジニアリング部入社。
岡山工場、仙台工場、珠海麒麟統一ビール有限公司、エンジニアリング部長を経て、2013年1月より神戸工場長に就任