2013年
5月号

児童福祉月間にあたって ~自尊感情が低い日本の子どもたち

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5月17日~12日は、児童福祉週間です。神戸市は5月を「児童福祉月間」と定めています。1950(昭和25)年、敗戦から立ち直りつつあった日本では、これからの未来を担う子どもたちを健やかに育てていくため「児童憲章」を制定しました。
・児童は、人として尊ばれる
・児童は、社会の一員として重んぜられる
・児童は、よい環境のなかで育てられる

これが、児童憲章の前文です。
憲章が制定されてから60年、その思いとはうらはらに、現代では児童虐待の相談や通報が児童相談所に約6万件寄せられ、いじめや不登校など、子どもたちを取り巻く環境は、私たちが追い求めてきた理想からは遠ざかっているような気がします。
もうひとつ気になるのが、日本の子どもたちが、諸外国の子どもたちに比べて「自尊感情」(自分を大切に思うこと)が、低くなっていることです。日本、ドイツ、アメリカ、韓国、スウェーデンの子どもたちに「自分は大切にされていると思いますか」「自分には良いところがありますか」といった自尊感情に関する調査(平成16年世界青年意識調査)を行ったところ、日本ではすべての項目でどの国よりも一番低く、また小学生から高校生へと成長するにつれて低くなっているのです。児童養護施設で暮らす子どもたちは、親から虐待を受けたり、親から見放されたりといった経験から、自尊感情が低い子が多いのですが、現代では一般家庭の子どもたちにも「自分は価値が低く、大切にされていない」と思っている子どもが増えているようです。
人が生きていく上で必要なのは「レジリエンス」といわれる「困難を乗り越えていく力」です。その力をつけるには、自分が一人の人間として尊重され、信頼され、大切にされる経験を積み重ねて、自己肯定感を養っていくことが必要です。大人は、他の子と比べたり、否定したりせずに、「あなたはそのままで大切な存在なんだよ」と、子どもに教えることで、自尊感情が高まり、困難を越えていく力をつけることにつながります。
子どもは、自分が大事にされたり愛された経験がないと、大人になってから、人を信用したり、人を愛したり、思いやりを持つことが難しくなります。5月の児童福祉月間は、子どもたちから大人たちに対するそんな問いかけに、私たちがどう答えたら良いかを考える機会にしてほしいと思います。

お話 / 橋本 明さん

〈家庭養護促進協会事務局長〉

社団法人 家庭養護促進協会
TEL 078・341・5046
神戸市中央区橘通3-4-1
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