2013年
5月号
滝川沿いに咲き乱れる桜

六甲は有馬の偉大なる母

カテゴリ:神戸, 観光

世界に誇る稀少な自然環境

有馬は六甲山の中腹、海抜400~500mのところにありますが、ここには世界でひとつしかない金泉が涌き、さらに炭酸泉やラジウム泉も湧出しています。また、六甲山の北側斜面中腹にありながら、朝日が差すという奇跡的な場所でもあります。この有馬にしかない環境は、まさに六甲山の恵みです。
六甲山はどうあるべきか。あるいは六甲山をどう守っていくか。その課題のひとつに、環境対策があります。環境には森林整備も重要ですけれど、ほかにもいろいろ考えるべきことがあるのではないでしょうか。
例えば、六甲山での車の運行をどうするか。スイスのツェルマットのように、環境に配慮して電気自動車以外の車の乗り入れを制限し、バスも電気で走るものにするというのも環境への配慮ではないでしょうか。
六甲山には独自の植物があります。シーボルトや牧野富太郎博士もここでいろいろな植物を発見しています。「シチダンカ」というあじさいはシーボルトが発見した六甲山の固有種です。また、日本海側と太平洋側の植物が混在している珍しい場所という話も聞いたことがあります。この植物群は六甲の宝です。
有馬でいえば、アリマウマノスズクサやアリマグミといった、有馬でしか群生がみられない植物もあり、世界で通用する学名に「アリマ」の名を冠しています。春になると、コブシに似たタムシバという白い花が山に咲き誇ります。特に今年は山が真っ白に見えるくらい見事です。昔から、タムシバが咲く年は有馬の景気が良くなると言われていますが、今年は今のところ良い感じですね(笑)。
私が小さい頃は、黒いアゲハチョウをよく見かけました。六甲固有の植物としか共生できない種だったのでしょうか。でも最近はあまり見かけなくなりました。一方、地球温暖化でクマゼミが勢力を拡大してきました。

健康づくりに自然の力を

六甲有馬ロープウェーはもともと有馬の先人たちが出資し、昭和45年に開業しました。昭和47年には神戸市整備公社に譲渡し、現在に至っています。現在は外国人の利用も増え、六甲山頂から大阪湾を望む夜景ツアーにも人気があります。
一方で昨今の健康ブームの影響か、年々登山客が増えています。芦屋方面から山を越え、日帰り温泉で疲れを癒やして帰るパターンですね。有馬へは3つの大きなルートがあります。中でも魚屋道はなだらかで歩きやすい人気コースです。また、有馬ではノルディックウォーキングを毎月おこなっていますが、これも大変な人気です。ストックを使って歩くと、全身運動で普通に歩くより運動量が多くなります。将来的にはこれと温泉を組み合わせた健康増進の提案をできるようにしたいですね。
その鍵となるのが森林浴です。北海道大学の登別温泉と森林浴を組み合わせたデータによれば、血糖値や血圧に好影響をもたらすなど、成人病を改善する効果があるそうです。そういう山の持つ力と温泉の効果を組み合わせることが大事になってくるでしょう。
いま、有馬温泉は15年先を見据えたマスタープランの仕上げに入っていますが、テーマは「健康と環境」になります。有馬の原拠はやはり温泉です。温泉観光地として一番必要なことは、六甲山との共生。有馬は六甲山の恵みに恩恵を感じ、それをみんなが認識した上で、有馬の温泉と自然の力をどのように活用するか考える必要があります。
有馬は六甲の山頂まで、約百万坪を所有しています。植物や昆虫を再生させ、野鳥を戻すようなことをやっていかなければいけない。そのためにも有馬の人たちはもっと六甲山を訪れ、自然の力を感じ、いろいろな発見をしてほしいですね。
山の魅力は紅葉だけではありません。これから新緑の季節です。まぶしく美しい緑は、健康に結びつく「気」にあふれています。冬を凌いで目覚めた生命のエネルギーを感じに、六甲・有馬へぜひお越しください。

瑞宝寺公園の紅葉


有馬48滝のひとつ「七曲り滝」の氷瀑


愛宕山に自生するタムシバ


滝川沿いに咲き乱れる桜


當谷 正幸さん

銀水荘 兆楽 代表取締役社長
一般社団法人有馬温泉観光協会 会長