03.17
WEB版エンタメ情報|
映画『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』がいよいよ公開!
白石由竹役・矢本悠馬さんが語る “白石由竹”
野田サトルの大人気コミック『ゴールデンカムイ』の実写映画化から2年。続編となるドラマ『連続ドラマW ゴールデンカムイ -北海道刺青囚人争奪編-』を経て、待望の最新作が公開した。明治末期の北海道を舞台に、隠されたアイヌの埋蔵金をめぐる生死をかけた争奪戦も、大スペクタクルな冒険活劇である原作の第一部のクライマックスともいえるエピソード。主人公・杉元、その相棒・アシㇼパと行動を共にする明るいムードメーカー、白石由竹役の矢本悠馬さんに聞いた。
原作リスペクトが生んだ映画
北海道・アイヌ民族から奪われた金塊を狙うこの物語は、実写化が難しいと言われてきた。理由の一つとして個性豊かな登場人物があげられる。
実写化にあたって矢本さんは「ワクワクしかなかったですよ」と話し始めた。
「僕はもともと原作のファンですし、スタッフ全員が原作をリスペクト。キャスティングも原作リスペクトの上で、世界観を壊さないよう考えたと聞いています。その中で、白石がもつ雰囲気をどこまで表現できるかワクワクしていました」。
矢本さんにオファーがきたのは、元囚人で脱獄王の白石。明るいムードメーカーだ。
「白石は好きなキャラクターだったのでうれしかったです。お話をいただく前から、奇跡的に、すでに役のイメージは湧いていたので、待ってました!任せてください!白石は “推し” なので解像度は高かったですし、自信がありました」。
映画化の前から、役のイメージを考えていたことになるが…。
「職業柄というか…。漫画を読みながら、自分ならどう演じるかみたいなことを考える。もう癖みたいになってます。漫画って体を動かすリズムとか顔の表情のつくり方とか、勉強になるんです」。
前作から「白石が白石だ!」という、矢本さんのイメージ通りの演技を絶賛する声が多く聞かれた。「映画を観た人からの声は何より嬉しいですね。動く白石を見てテンションが上がったのならよかった。そういう声が聞こえてきた時、僕の解釈で良かったんだなと、やっと一安心しました」。

白石の人物像
漫画『ゴールデンカムイ』(集英社ヤングジャンプ コミックス刊)は、2022年に連載が完結している。ネタバレを嫌う昨今では珍しく、ファンなら誰もが結末を知っていることになる。
「白石の運命をみんなが知っているというのは、自分の中では悪いことではなく、いい意味で大きかったです。この先起きる出来事や、ラストシーンまで知っている。どう物語が進むか、どんな人間なのかが見えるので、迷わず演じることができました」。
あくまで、“演じる側”として、白石と向き合っていることがわかる。漫画では、白石の過去は見えてはいないが。
「俳優のメソッドで、バックボーンをもつっていう細かな演技を目指す教えがあるんですけど。白石って深みを持たせたら持たせただけ損するなと思ったんです。ほかの登場人物には、それぞれ思想があってみんな重い。“お金が欲しい”って、それだけで人がたくさん死ぬ物語です。その中で白石は、天然でダントツにアホ。ムードメーカーとしてライトに映った方がバランスがいい。深みを出したら笑えないと思いました」。
映画から連続ドラマ、そしてまた映画。演じていくうちに変化はないのだろうか。
「演じる上で、僕がやりたいことは変わっていない。けれど今回の劇場版では、少しだけ白石をかっこよく見せる働きかけがありました。杉元から責任重大なことを任されるのですが、自分の中では、ヤダよ!って逃げたかった。白石は、何かを背負うとか責任感とか、そういうことには抵抗がある人間だと思っていたので。でも“いいとこ取り”は抵抗なくもっていくので、このシーンも“いいとこ取り”と考えればうんって言えるな、と気持ちをもっていきました」。
時間にしたら決して長くはないシーンだが、ここでの白石の表情は胸に残る。
「囚人なので悪人ではあるんですけど、悪いやつでもないんです。情もあるし。1%の良心が誇張されて描かれた、実写化ならではのシーンですね。片桐監督には僕の考えを話して、そんなニュアンスでいいかと聞きました。OKをもらって撮影が進みました。監督は、白石の“本質” を見せたかったのかもしれません」
自らがもつ人物像、演技に対する考えは一貫しているようだが、原作者、野田サトルとはどんな話をしたのだろう。
「前作では野田先生の解釈と僕の演じ方に差があったようです。けれど、撮影が進むうちに『白石を楽しめた』『ああいう白石もいいね』と言ってくれて、ホッとしました。今作では『思っていた通りに演じてくれた。何も言うことはない』と監督に話していたそうで、認めてもらえたことが嬉しかったです。野田先生の中で、僕が演じる白石の存在が大きくなったんだなと思って…。でも僕は、演じる側としての解釈には、はじめから自信があったんですけどね(笑)」

憧れたヒーローとこれからのこと
漫画の登場人物で、演じるイメージができている役は、ほかにもあるという。
「『ドラゴンボール』のクリリンです(笑)。主人公の隣にいて、強くて、いつも楽しそう。白石みたいですね。ヒーローよりもその隣にいる人物に惹かれます。関西人だからかもしれません。芸人さんを見ていると、人を喜ばせる、“ボケ”ってかっこいいと思うので。子どもの頃は普通に、ヒーローに憧れましたよ。アメリカに住んでいた頃はスパイダーマン。父が見せてくれた仮面ライダーやウルトラマン。ヒーローになりたかった。今もバリバリにアクションする役とかやりたいですね。今回僕は戦闘シーンがなかったので」。
昨年は、NHK大河ドラマにも出演。“ボケ”とは正反対、悲劇の武士を演じた。
「今とはまったく考え方が違う時代なので、出演としては短かったけれど、考えさせられる役でした。時代劇もかっこいいですね。映画で殺陣をやったことないので、刀を振り回したいです。チャンバラが好きなので。過去に傷を負っているような、シリアスな役もいいな。時間かけてじっくり向き合えるような人物も演じてみたいです」。
最後に、好きな映画を聞いてみた。
「ジム・キャリーの『マスク』。小学生のときに観て、なんだこの人は!?と思いました。『バックス・バニー』で、目玉が飛び出たり、足が伸びたりするのを、人間ができないからアニメーションなんだな、って思って見ていたけど。マスクを見て、人間の表現に限界はないんだな。身体と思考が一体になっている、表現者として段違いの人だと思いました」。
子どもの頃も“表現の仕方”をみていたことに驚く。
「いつだったか、ジム・キャリーのインタビューを読んだら、“心を模写する”ことで“演じる”芸につなげていると話していたんです。コメディアンだった人なのですが、モノマネをするときに、見た目だけ似せるのは限界がある。じゃあどこを寄せるかといったら、“心”なんですって。漫画原作の役を演じるときに、僕が真似をしているところです。小学生の時に見た映画に今も教えられています」
心を寄せるには本人の心も柔軟でなければいけない。矢本さんにはそれを感じた。
photo.黒川勇人 text.田中奈都子


©野田サトル/集英社 ©2026映画「ゴールデンカムイ」製作委員会
公式サイト
https://kamuy-movie.com/cast/index.html












