03.13
WEB版 エンタメ情報|歌手 林部智史さん
歌手になって10年。
歌との出会いと“縁(えにし)”
林部智史さんがデビュー10周年を迎え、オーケストラと共に歌う。
デビューシングル『あいたい』が、“もっとも泣ける歌”として口コミで広がり、同年のレコード大賞と有線大賞、二つの新人賞を受賞。オリジナル曲に留まらず、唱歌、童謡、叙情歌などを歌い継ぐ、表現者としての魅力にファンが増え続けている。
昨年秋には、オリジナルアルバム『縁(えにし)』をリリース。日本の音楽界のレジェンドたちが新曲を提供し話題に。制作秘話や歌との向き合い方などを訊いた。
Q.『縁(えにし)』の楽曲提供には、錚々たる方々が名を連ねています。存在感のあるアルバムですね。
僕もそう思います。これまでリリースしたカバーアルバムのご縁が、ありがたいことに新しい形になりました。『カタリベ~愛のエクラン~』(2024年)では、僕が生まれる前(1970~88年)の名曲を選んだので、結果、大先輩方との出会いに繋がりました。
Q.半世紀以上も前に遡って選曲したのですね。
たくさんの歌を聴きましたし、今も聴いています。
カバーの場合は、まず原曲へのリスペクトがあるので、イメージを崩さないよう心がけています。繰り返し歌っていると言葉の重みを感じる…。そんな名曲ばかりですね。
Q.そして『縁(えにし)』に繋がったのですね。
そうですね。曲を作っていただくって簡単なことではなくて、奇跡に近いと感じています。でもカバーアルバムの制作があって、歌に向き合う時間があって繋がったご縁だと思うので、このタイトルに決めました。
Q.曲について詳しくお聞きしたいのですが、作詞作曲をお願いするにあたって希望は伝えましたか?
僕からの希望はないです。アーティストの方が感じたままを曲にしてくださるのがいいと思っていたので。
唯一、丸山圭子さんにはレコーディングの際、お願いをしました。できあがった曲を聴いて、どうしても丸山さんにコーラスを入れて欲しいところがあって。丸山さんは願いを叶えてくれました。
Q.丸山圭子さんからの曲の提供は今回が初めてですね。
お会いしていろんな話をして、「皆さんのイメージが偏ったらいけないので、私は3曲作ります。バランスを見て選んでください」と言ってくださって、その後、本当に3曲届きました。とってもいい曲で、本当は全部歌いたかった…。
Q.加藤登紀子さんはタンゴを作曲。懐かしさを感じます。
南こうせつさんからも「いい曲だね。インパクトがあっていいね」と言っていただきました。加藤さんらしい曲だとも…。
タンゴは何度か大きなブームがありましたね。日本でも名曲が生まれています。いわゆる昭和っぽい、になるのかな。でも収録曲、皆そうです、現代風ではない。
Q.どの曲も歌詞を伝えるのが難しそうです。
難しいけれど、言葉が見せてくれる情景があって美しい。歌がもつ世界観を「伝えたい!」と思わせてくれます。
歌詞はすべて肯定できるわけではありません。例えば、いけない恋の歌には共感できない感情もありますが、見方を変えると、どこかに必ず共感できるところがある。根幹の純粋さとか真っ直ぐさとか…。それを探します。
Q.歌詞への共感ですか…。
僕が考える「音楽」と「歌」の違いは言葉です。言葉を伝えるのが歌手。加えて日本語の美しさを伝えたいと思っています。なので、歌詞をどれだけ読み込めるかが自分にとっては大切です。
Q.“泣き歌の貴公子”とも言われています。歌詞が伝わっている証ですね。
「泣けます」と言われるのはうれしいです。感情が動いたということは、心に届いたんだなと。悲しい歌を歌った時に僕が可哀想に見えるのは違う。僕が主人公ではなく、聴いている人が主人公だと思っています。
Q.美しいイントロも印象的です。イントロや間奏はいらない、という最近の意見はどう思います?
イントロで気持ちを高めることはあるし、間奏もそう、歌をより深く伝えるために編曲者がいます。メロディだけではなく、エンディングまでが歌。時代が変わろうと僕のスタイルは変わらないですね。
Q.南こうせつさんは曲の提供のほか、コンサートでもご一緒しますね。
こうせつさんには、仕事でお会いした時に直接「曲を作ってください」とお願いしました。その際、古い洋楽のバラードを聴かせてくれて「切なさが込み上げるところが林部さんに似合う」と話してくれました。次にお会いした時には、作った曲のイメージをギターの弾き語りで聞かせてくれて…。楽屋で、目の前で。感激しました。
Q.故郷がテーマですね。
作詞は松井五郎さんです。こうせつさんは大分県、僕は山形県、2人とも故郷があるので、共通するイメージがあったのかもしれませんね。
Q.歌詞で言うと、小椋佳さんの『祈り』は託された言葉が重いですね。
平和への祈りは、歌う自分に限らず、楽器を演奏する人も、聴いているどんな人も同じだと思います。年齢差も昭和も現代も関係なく。僕は縁あって小椋さんが綴った言葉を歌っている、と考えています。
小椋さんが歌詞だけで参加くださった曲『小さい男』(作曲:堀内孝雄)、これも小椋さんの言葉。きっとご自身のことです。普段は可愛らしい方です。
Q.自らをコンサートで歌うことをメインとする「コンサート・アーティスト」と話していますね。
いつでもどこでも音楽を聴くことができる時代です。だからこそ、お客さんの目の前に立つコンサートを優先したいと思っています。
デビューしてから、「自分のために歌っている」「聴いてもらうことで自分が生かされている」という気持ちが強かったのですが、思っている以上に、僕の歌に寄り添ってくださる方は多い…。そんなお客さんのところへ足を運んで歌いたいと思っています。
Q.最後に、コンサートの見どころを!
今回はオーケストラと一緒に歌います。印象を変えることなく歌える曲、オーケストラの音に合う曲を選んでいます。楽器の音色と歌の両方をフェスティバルホールでぜひ聴いてください。

〈公演情報〉
林部智史
10th Anniversary Concert in 大阪
with 関西フィルハーモニー管弦楽団
日時:2026年3月13日(金)17:00開演
会場:フェスティバルホール
詳しくはコチラ https://kyodo-osaka.co.jp/search/detail/11928
林部智史オフィシャルサイト https://hayashibe-satoshi.com/












