2021年
4月号
4月号
神戸のカクシボタン 第八十八回 神戸を代表する名店が奇跡の復活!! ぎょうざ『ひょうたん』リニューアルオープン
写真/文 岡 力
昨年6月に惜しまれつつも閉店した、ぎょうざ『ひょうたん』。コロナ禍で閉塞感漂う神戸の街からは悲しみの声が漏れた。
そんな中、事業継続が困難になった飲食業に対して参画、支援する『株式会社ZIPANGU』の手により今年2月にリニューアルオープンすることになったと朗報が届いた。「ただいま帰ってきました、がんばります」と言いながら餃子を焼くのは創業者の孫にあたる店長の長塚仁孝さんだ。同店は1957年に元町で創業、諸説あるが末広がりを意味する数字の「8」が店名に由来する。
肉汁が溢れるジューシーな餡をモチモチの皮で包んだ三世代に渡り継承される味。八丁味噌をベースにお好みの分量で醤油、酢、ラー油を配合した特製たれをつけて食べるのがここでのしきたりだ。店内はリフォームしたが価格、個数、メニューは当時のまんま。だが「昔ながらの考えを残しつつ変えていかなければいけない」と新メニューに「ハイボール」を追加した。カウンターに座り迷うことなく二人前を注文。焼きあがるまでの間、味噌や薬味の「にんにく醤油」をアテに一杯やりながら待つ。「お待たせしました」の声と同時にいつもの光景が目の前に広がった。餃子と喜びを噛みしめながら「ご無沙汰しています」と再会を祝し挨拶をした。
■ぎょうざ『ひょうたん』
・三宮店 神戸市中央区北長挟通1-31-37
・元町店 神戸市中央区元町通1-11-15
■岡力(おか りき)コラムニスト・放送作家
ふるさとが神戸市垂水区。関西の大衆文化をテーマとした執筆・テレビ、ラジオ番組を企画。連載「のぞき見雑記帳」(大阪日日新聞)「あての履歴書」(大阪スポーツ)