2021年
4月号
4月号
神戸偉人伝外伝 ~知られざる偉業~⑫教育者へ求めた平生釟三郎の哲学後編
世の為に…平生釟三郎が医療に求めた敬愛
病院創設への執念
「誰もが平等に治療を受けられる病院をつくりたい。真に病人のための病院を」
人生三分論の第三期。平生釟三郎はこんな思いを込めて、1934年、神戸市に甲南病院(現甲南医療センター)を創設した。
人生三分論の第一期。平生は苦学して大学を卒業したが、第二期、社会人になってからも苦労を重ねている。彼は不幸にも二度、妻を病気で亡くしている。二人とも産後すぐに体調を崩し、亡くなったのだ。
乳飲み子を抱いて悲観する彼が、「医療設備が整ってさえいれば…」と落胆すると同時に、「真に病人のための病院をつくりたい」と理想の病院創設に並々ならぬ意欲を燃やしたことは想像に難くない。
(次回は小林一三)
戸津井康之