2016年
4月号
中庭に階段を設けることで、生徒たちがコミュニケーションを図りやすい環境をつくった

ポートアイランド新キャンパスで新たな歴史の第一歩を踏み出す

カテゴリ:, 教育・スポーツ, 神戸

神戸学院大学附属高等学校
校長 八田 康弘 さん

100年を超える歴史をもつ神戸学院大学附属高等学校。
いよいよ4月から、ポートアイランド新キャンパスで新たな歴史の第一歩を踏み出した。

国際性、サイエンス、高大連携…、新キャンパスに期待高まる

―神戸学院大学附属高等学校は長い歴史のある学校なのですね。
八田 淡路島出身の女性・森わさがご主人の急逝後、自身が自活を目指すことを含め、社会に役立つ女子育成のため明治45年(1912)、平野で女学校を創設したのが始まりです。平成24年(2012)に100周年を迎えました。

―新キャンパス移転に至るまでの経緯は。
八田 会下山校舎は昭和11年(1936)に開設されたものでしたが、平成13年(2001)、男女共学になった当時から手狭になり、十分な設備を整えられない状況が続いていました。移転場所を探していたところ、神戸学院大学ポートアイランドキャンパスの近くに条件の整った土地が見つかりました。校舎と道を隔てたグラウンンドと2カ所に分かれますが、会下山の約5倍の敷地を確保でき移転が決定しました。

―高校と大学の連携が一段と深まりそうですね。
八田 大学の専門科目をはじめ、外国語や情報教育などの授業体験を、協力を得ながら設定する予定です。自分の将来を見据えるにあたって非常によい機会になると思います。その他、大学生と一緒にボランティア活動に参加することもあるでしょうし、また大学生が高校に来て教育に関する研究をしたり、現代社会学部生が高校生向けの防災教育をしたり等々、今後もさらに多くの場面での連携が可能になると思います。

―ポートアイランドという立地に期待できることは。
八田 ポートアイランドには港や空港もあり、国際性を身近に感じることができる環境です。2015年から大学に新設されたグローバルコミュニケーション学部との連携も含め、国際的視野を養う教育の条件がさらに整ったといえます。また、スーパーコンピュータ「京」や理研などサイエンス系の施設が立地していますので、有効に連携できれば、文科省が推進しているSSH(スーパーサイエンスハイスクール)にもつながる展開が期待できると思います。

―国際的視野を養うというのは教育方針の大きな柱のひとつですね。
八田 本校では従来から国際クラスを開設し、語学研修体験などを通しグローバル教育に力を入れてきました。4月からは「特進グローバルコース」を新設し、選択制で1カ月または3カ月間のニュージーランドでのホームステイ語学研修や長期・短期の留学プログラムを充実させる予定です。修学旅行では「特進グローバルコース」以外の生徒は、イギリス、フランスでのホームステイ体験をしますので、全員が在学中にグローバル体験をすることになります。

―生徒の通学エリアも変わってくるのではないでしょうか。
八田 今までは神戸市北区、中央区以西が主な通学エリアでしたが、市内でも若干人口が増加している東部エリアや阪神間から通学しやすくなり、本校が進学先の選択肢のひとつになると期待しています。

―ポートアイランドにとっても、活性化のきっかけになるといいですね。
八田 これから、さらに元気を出していきたいポートアイランドですが、神戸学院大学をはじめ、今回の附属高校移転、さらに来年度の附属中学校開校で街に若者が増え、賑わいのきっかけにはなるかと思っています。ただし交通の便については今後、地元の皆さんのご理解をいただき、神戸市さんとも協議しながら解決していくべき課題です。

緑・風・光があふれる 明るい新キャンパス

―新キャンパスの概要をご紹介ください。
八田 「ロ」の字型4階建て校舎の中心に中庭を配しているのが大きな特徴です。中庭は緑にあふれ、十分に光を取り入れ、生徒たちが風通しのよい明るい環境でコミュニケーションをとれる大空間です。教室、廊下、図書館、食堂、多目的室など全てのスペースにガラス越しの光が差し込み、また外からの目が届く開放的な構造になっています。もちろん無線LANを導入し、ICT教育に対応できるようになっています。

―従来から情報教育には力を入れておられますが、さらに発展させる予定ですか。
八田 2001年から一人一台のノートパソコンを導入し、授業ではもちろんですが、生徒からの発信手段のひとつとして活用してきました。その成果が大学進学してからのプレゼンテーション力で発揮されていると評価いただいています。さらに新校舎では一人一台のタブレットを活用する予定です。

―部活動も活気づきますね。
八田 会下山では学校敷地内に施設を造る余裕がなく、体育系の部活は校外へバス移動していました。時間的ロスもあり、なかなか活発な部活動ができないのが現状でした。ポートアイランドではやっと自前で施設を整えることができました。中でも、硬式野球部ができることになったのは大きな変化です。まずは甲子園行きの切符を手にする道が開けたというところです。

―今後の展望について。
八田 学校では学力はもちろんですが、心の力を養わなくてはいけません。社会に出て、打たれて潰れる、バーチャルの世界に閉じこもってしまう、最近はそんな傾向があります。広い視野で大きな世界を見ることができる、強い心をもった人間に育ってほしいと思っています。そのために、教科書の中だけでなく、実際に見たり、聞いたり、いろいろな体験をして多くのことを学べる仕組みづくりに新キャンパスでも取り組んでいきます。

―生徒にも学校にも希望の春ですね。未来に向けた明るい話題を提供いただきありがとうございました。

今春、ポートアイランドに移転を果たした神戸学院大学附属高等学校

今春、ポートアイランドに移転を果たした神戸学院大学附属高等学校


中庭に階段を設けることで、生徒たちがコミュニケーションを図りやすい環境をつくった

中庭に階段を設けることで、生徒たちがコミュニケーションを図りやすい環境をつくった


ポートアイランドには多くの研究機関や企業が進出する。外部との連携も大きな魅力になる

ポートアイランドには多くの研究機関や企業が進出する。外部との連携も大きな魅力になる


一人一台タブレットを使用し、電子教科書を活用する

一人一台タブレットを使用し、電子教科書を活用する


同じくポートアイランドにある神戸学院大学とも連携を図る

同じくポートアイランドにある神戸学院大学とも連携を図る


各階に植栽を配することで緑があふれる環境をめざす

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職員室からはすべての教室を見渡すことができる

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男女共学の中高完全一貫教育をめざして、来春には中学校が開校

男女共学の中高完全一貫教育をめざして、来春には中学校が開校

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八田 康弘(はった やすひろ)

神戸学院大学附属高等学校 校長
1952年、大阪府生まれ。神戸大学農学部卒業。1976年、神戸学院女子高等学校(現・神戸学院大学附属高等学校)に理科教諭として赴任。教頭職を経て、2009年より校長に赴任

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