4月号
私の神戸創生論|中内 仁 さん(株式会社神戸ポートピアホテル 代表取締役社長)
デザインとおもてなし
神戸の玄関口となる三宮の再開発計画が構想されている中、まず一つ目に、神戸の魅力を感じられるシンボリックな風景や建築物が実現することに期待したい。
ユネスコ創造都市デザインネットワークのデザイン都市に認定された神戸市であるがゆえ、若手デザイナーがそのアイデアを形にし、アイデンティティを表現する機会を提供することができる。スペインのビルバオでは、グッゲンハイム美術館をはじめ、地下鉄の入り口、スビスリ橋など、目を見張るモダンな建築物に街を歩くだけで数多く出会う。素晴らしいものに出会うと、また行きたい誰かに伝えたい、という感情は自然と芽生えるものだ。一目でビルバオとわかるこれらの建築物は、人々の記憶に刻まれ、SNSで世界中に発信される。 それを知り得た人たちは、その場所へ行きたい、自分の目で建築物を見たいと感じ、足を運ぶ。こうして、人が人を呼び、情報を拡散させるという、好循環が生まれる。 まさに神戸が目指す都市モデルではないかと思う。
次に、神戸に来られる方をお迎えするおもてなしのレベルアップが必要だと感じる。
神戸市は、現在人口減に転じており、定住人口増加を目指しているが、まずはお迎えする体制を整えることから始めてみてはどうだろうか。駅、空港、バス、タクシーなど交通機関で働く方々が、行政や観光、コンベンションに関わる方々と連携し、情報共有できる仕組みが構築されることが理想である。交通機関の方々がタイムリーなイベントやコンベンションの情報を持ち合わせているだけで、観光やコンベンションで来神された人たちに安心感を与えることができる。ウエルカムな姿勢でお迎えすることで、口コミ評価が伝えられ、来神者が増える。さらに、また行きたいと感じた方が2度3度と神戸に足を運び、おもてなしの心に触れ、行きたい場所から住みたい場所に変化することもあるはずだ。
私たちも神戸を代表するホテルの一つとして、特色ある空間づくりを目指し、ホスピタリティを推進することで神戸創生の一翼を担いたい。