4月号
私の神戸創生論|比屋根 毅 さん(株式会社エーデルワイス 代表取締役会長)
世界に誇る洋菓子ミュージアムを神戸に
この20年でどんどん神戸らしさが無くなってきたように思います。例えば、北野坂や異人館通りには神戸らしいブランドのモデル店が並んでいました。絵になるエキゾチックな風景で、活気があり、歩いていても楽しかったですね。今はナショナルブランドと呼ばれるどこにでもある店ばかりが増えてきています。神戸ブランドが廃れてきたと言えるのでしょうね。
神戸には洋菓子をはじめ、神戸牛、灘の酒、ファッション、真珠など、いいものがいろいろあります。企業、行政、市民も一緒になってブランドを支えるために力を入れなくてはいけないと、私は思っています。大丸元町店を中心とした旧居留地は、神戸らしさを上手く維持しながら発展していますね。いいお手本になると思います。
私は阪神・淡路大震災当時、「大阪の洋菓子業界の振興を」と依頼があり、大阪府洋菓子協会副理事長を務めていました。震災を機に、兵庫県洋菓子協会会長として戻り、独自の海外研修制度の創設をはじめ、大丸神戸店の協力を得て開催する「洋菓子フェスタ in Kobe」や各種コンテスト、協会内での訓練校、技術講習会などを積極的に進め、神戸の洋菓子職人が全国大会で常に優勝するまでに至りました。僭越ながら、神戸の洋菓子技術を全国トップレベルまで高めるためにお役に立てたと自負しております。
私の夢は、1階に洋菓子ショップ、2階にカフェ、3階に職人育成学校、4階には、現在本社で所蔵しているヨーロッパの洋菓子に関する古書、資料、コレクションなどを展示するミュージアム、こんな施設を神戸に造ることです。世界に誇れるものを造りたいと思っています。さらに、フランスでの国家最優秀職人賞(MOF)のような制度を国に創設してもらって、神戸が中心になって運営していければいいなというのが大きな夢です。
神戸は港町というエキゾチックなイメージがあり、山と海に囲まれて地形的環境にも恵まれています。兵庫県と神戸市、企業、市民が協力して神戸らしい文化を高めていくべきです。そうして初めて、街は発展するものではないでしょうか。