11月号
レクサスと日本のモノづくり ④
「世界一」に満足しないブランドの挑戦
阪神間発祥の洋菓子メーカーは全国を席巻しているが、中でもアンリ・シャルパンティエのお洒落さは際立っている。それは高いクオリティがあってこそ。洗練されたイメージの陰には、実直なものづくりの精神がある。
封を切ると広がるバターの芳醇。生地はしっとりとやさしい甘さで、後味にアーモンドの風味が語りかけるように漂う。アンリ・シャルパンティエの看板商品といえばフィナンシェだが、今やフィナンシェといえばアンリ・シャルパンティエというくらい絶大な支持を得ている。その証拠が4年連続世界一という栄誉だ。よくある〝自称世界一〟ではなく、年間販売個数でもギネス世界記録®の認定を受けた。味が良くなければ売れないから、世界で一番売れている=世界で一番旨いということなのかもしれない。
シンプルなお菓子だからこそ、誤魔化しがきかない。バターは遙かなる北の大地、根釧台地のミルクをフランスの伝統製法で仕込んだオリジナル発酵バター。アーモンドは香りのテイストが違う2種をブレンドし、極限まで酸化を防ぐべく生地にする直前に挽くという徹底ぶり。そこまでやれば完璧ではないかと思うが、意外なことに常に品質を見直しているという。定番であり続けることは、静かなエボリューションを続けることなのだ。
高い品質。それはブランドの必要条件だ。しかし、十分条件ではない。クオリティにイメージがかみ合ってこそのブランドだと、パッケージデザインやストーリーへも心を砕く。「当社も品質が良ければ世界で勝負できると思っていたこともありました。その点レクサスは違う。高い品質に確固たるブランドイメージがあってこそ、世界的であることをはじめから体現されている」と蟻田さん。「我々も〝お菓子のレクサス〟とよばれるように、日々精進していきたいですね」と、アンリ・シャルパンティエは今日も進化のアクセルを踏む。
株式会社シュゼット・ホールディングス
代表取締役社長
蟻田 剛毅 さん
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