2018年
9月号
9月号
神戸のカクシボタン 第五十七回 神戸は、映画作りのふるさとです 映画監督・脚本家 安田真奈さん
写真/文 岡 力
「六甲道に下宿し通学していました。高台からの気持ち良い眺めに日々、リフレッシュできました」。そう語るのは、映画監督の安田真奈さん。神戸大学在学中に映画サークルへ入部。卒業後は、大手家電メーカー勤務の傍ら作品を制作。退職後、2006年に監督・脚本を務めた映画「幸福のスイッチ」で劇場デビューし第16回日本映画批評家大賞特別女性監督賞を受賞した。他にも「劇場版 神戸在住」の脚本を担当するなど「関西のええ話」をユーモラスな演出と優しいタッチで表現している。
昨年、加古川市を舞台にメガホンを取った「36.8℃ サンジュウロクドハチブ」では、女子高校生が日々の生活で葛藤や苦悩しながら成長していく様を描いている。リアルを追求し地元高校生にヒアリングを重ねた。自治体とも連携し「イチジク」「ブドウ」をはじめ「米粉」「かつめし」といった地域食材が日常シーンで彩り豊かに映し出されている。
既に地元商業施設では先行公開され3週間で2,800人を超えスマッシュヒットを記録。映画を介して加古川市が見事に地産地消されている。
「神戸は、街並み、海、山などの景色も魅力的だが、何より外からの人間に『welcome』な風通しの良さが好きです。メリケンパークの開放的な雰囲気、異人館では、うろこの家がお気に入り。南京町、居留地も面白いですが乙仲通りの可愛いお店も楽しいです。いつかこの街で映画を撮りたいです」。青春時代を過ごした神戸の街は、安田作品の源となって活きている。
■岡力(おか りき)コラムニスト・放送作家
ふるさとが神戸市垂水区。関西の大衆文化をテーマとした執筆・テレビ、ラジオ番組を企画。連載・レギュラー「のぞき見雑記帳」(大阪日日新聞)「大人の社会見学」(大阪スポーツ)「Oh!二度漬けラジオ」(YES-fm)