11月号
神戸に乾杯! 有馬温泉編
─御所坊の「バーニュールンベルグ」では神戸工場産のキリンビールが楽しめるそうですね。
金井 有馬玩具博物館をはじめる時、おもちゃをドイツのエルツ地方で見て、その後、世界的なおもちゃのメッセが開かれるニュルンベルクに行ったんです。そこの名物にニュールンベルガーというソーセージがあって、粗挽きのスパイシーなソーセージなんですが、玩具博物館といっしょに、お風呂上がりにでも立ち飲みで気軽に飲めるバーを作って、そのアテにニュールンベルガーソーセージがいいだろうなって思ったんです。今後の有馬を考えたら、海外からお客さんに来てもらわないといけません。日本では「名物に美味い物なし」と言いますが、外国のちゃんとした観光地へ行くとちゃんと一流品が置いてあります。ですからバーにはキリン神戸工場産のビールを置いています。
太良 神戸工場は、もともと尼崎に工場があったのですが、10年ほど前にそれを移転・増強した工場です。工場見学もおこなっていまして、昨年の来場者数は約13万人、予約制ですが予約が取りにくいという人気です。できたてのキリンラガー、一番搾りのほか、一番搾りスタウトという黒ビールも飲めるだけでなく、見学と試飲で約60分とコンパクトにツアーがまとまっているのも人気の秘密かもしれません。また、売店でも神戸工場限定のグッズや企業コラボ商品なども販売しており、こちらも人気です。
金井 ニュールンベルガーソーセージも、キリンさんからレシピを教えていただいたのですよ。
太良 神戸工場は兵庫県の代表的なビール工場です。ビールはお食事と一緒に楽しんでいただくものですから、キリンビールは、地元の食文化に地元の企業として取り組んでいくことができます。
─御所坊とキリンは深い繋がりがあるのですね。
金井 もともと僕は、キリンラガーが好きですからね(笑)。
太良 力強いお言葉、ありがとうございます(笑)。
─ビールといえば夏ですが、有馬の夏の風物詩、川座敷もビール会社が協力していますね。
金井 夏は夕食後涼みに出たい。そこで何かやっていたら、どうしても人は集まります。どこの国でもこれは共通ですね。これからは大茶会がおこなわれ、有馬は秋も賑わいます。
太良 ビールも夏だけではなく、秋も美味しいですよ。キリン「秋味」は季節限定商品でありながら22年も続いていて、業界では珍しい例なのです。なぜそんなに続くのかというと、限定醸造で作りすぎないんです。また、麦芽を通常の1.3倍使用した贅沢な味わいで、豊穣な秋の食材にもマッチしています。ラベルもいかにも秋っぽく、ひとつの商材としてのトータルコーディネートができていると自負しています。
─冬場のイベントは何かお考えですか。
金井 冬はクリスマスですよね。有馬はかつて三田藩の九鬼家により外国人の接待に使われ、外国人向けのホテルもありました。有馬初の観光組織の初代会長でもあった九鬼隆一さんもクリスチャンでしたし、有馬でクリスマスというのはアリなんです。晩秋から春先にかけてライトアップ期間にして、その中にクリスマスとか節分とかを織り込んで期間中にお客さんに来てもらえるようにしたいですね。忘年会も最近あまりしなくなりましたが、有馬で開催した方が安くなるという打ち出し方も考えています。
太良 いいですね。神戸工場は交通のアクセスが良く、有馬からも近いのですから、このようなイベントに合わせて来ていただきたいですね。神戸工場と有馬温泉と神戸三田プレミアムアウトレットを組み合わせたツアーも好評のようです。工場見学の入口の所にも有馬温泉のポスターを掲示して、工場にお越しいただいたみなさんに有馬にもお立ち寄りくださいとPRしています。
金井 ちなみに九鬼家の家臣だった川本幸民は、日本で最初にビールを造った人と言われています。
太良 キリンビール神戸工場では、かつて、生誕200周年を記念してそのビールを復刻したことがあります。
金井 そのビールを有馬で飲めるようにというのも良いですね。また、川本幸民はビール酵母がなかったから米麹で作ったのですが、逆にビール酵母で日本酒作ったらどんなお酒ができるのか、そんなコラボもアリかもしれません。
─最後に、将来の展望を。
金井 これから先、お客さんの趣向は変わっていきます。要するに風呂入って美味い物食べて贅沢する旅はなくなると思うんです。ですから、これから有馬で知的好奇心を刺激できるかが今後の課題だと思います。時代は変わっていきます。
太良 有馬温泉は日本屈指の著名な温泉街です。ですからそこで、いかにキリンが目につくようになるかがポイントだと思います。現在、約8割の有馬の旅館・ホテル様でキリンを置いていただいていますが、全施設で置いていただき、そのメインがキリンとなるように「間口と奥行き」を追求していきたいですね。
金井 ビールは肩肘張らずに飲める飲み物ですから、楽しく杯を重ねる雰囲気が大切です。ともにそのシーンづくりができればいいですね。
キリンビアパーク神戸
※工場見学は事前予約制、無料です
TEL.078-986-8001
(9:00~16:30)月曜休
神戸市北区赤松台2-1-1
http://www.kirin.co.jp/beerpark-kobe