2013年
9月号

私の芦屋スタイル

カテゴリ:文化人

料理研究家・ワインアドバイザー
江崎 美惠子さん

「芦屋スタイル」(講談社)の著者・江崎美惠子さんは江崎グリコ社長夫人であり、妻であり、母親であり、料理研究家であり…さまざまな顔を持ち、どの役割も全力でこなす。その生き方は女性たちからの共感を得て、道標になっている。

―「芦屋スタイル」出版の経緯は。
江崎 一昨年、団塊の世代向け生活雑誌「セオリー」の取材を受ける機会があり色々なお話をしましたら、講談社さんから「若い人向けのマナー本を書いてもらえないか」とお話をいただきました。とても自信がなく、でも書いてみたい気持ちもあり、「芦屋での生活を基盤として、私の考えを私の言葉で書かせていただいてもいいですか」とお聞きしたところ、「お願いします」と言っていただきました。

―読者からの反応はどうですか。
江崎 若い方だけでなく、年齢の高い方からの反響も多く、一番印象的だったのは、お料理教室の生徒さんから頂いた言葉です。ご本人は海外育ちの日本人で、ご主人は外国人です。「娘が日本人と結婚することになった時に、マナーをどう教えたらいいのか分からなかったのですが、この本を渡せばいいと思いとても嬉しくなりました」。逆に私が嬉しくて、感激しました。

仕事と家庭の両立を優先

―何故、37歳で料理研究家の道に入ろうと決心したのですか。
江崎 大学3年の時に結婚した私にできることはお料理しかなかったのです。ピアノは弾けない、歌は下手、絵は描けない、ダンスは踊れない(笑)。インテリアデザインにも興味があったのですが、職業にするとなると外に出なくてはいけません。3人の子育てがあるのでちょっと無理。昼間に自宅で好きなお料理を教えれば家庭と両立できると考えました。そこで、調理師免許を取って本格的に始めようと決心しました。今は、ひと月の半分は仕事、半分は主人や子供たち、孫たちのために時間を使っています。

―教室の生徒さんは若い女性が多いのですか。どんなお料理ですか。
江崎 主婦の方が多いですね。元々はフランス料理から始めましたが、数年して世の中を見回してみると、創作料理が大流行。美味しくて、見栄えがして、簡単にできるお料理が求められていると気づき、現在の芦屋市岩園町で新しく教室を開くのをきっかけに、アレンジ料理を始めました。和食が基本なら洋風のテイストを、洋食が基本なら和風のテイストを取り入れて、先付、前菜、メイン、麺・主食、デザートの5品を私が教壇のキッチンで作り、それを生徒さんに試食してもらっています。毎回、お家でもすぐに作れる簡単なもの、手間暇かける本格的なものを織り交ぜ、その上で温かいもの、冷たいものなどのバランスを取り、メリハリを付けています。

芦屋人気質は堅実とメリハリ

―長いあいだ慣れ親しんだ芦屋の街の良さを教えて下さい。
江崎 とても便利で暮らしやすい街というのは確かですが、今回、「芦屋スタイル」を書くにあたって改めて調べてみました。子供から高齢者まで、またハンディのある方に対する福祉が充実していることを初めて知りました。特に高齢者向けのとても良い施設があり、内容も豊か。私もいずれはお世話になることもあるかと思うと、「この街は離れられない」という気持ちがますます強くなりました。

―江崎さんが思う〝芦屋人気質〟はありますか。
江崎 身の程を知って、堅実に生活しているのが芦屋人です。私も〝芦屋人〟ですが、価値のあるもの、持続性のあるもの、投資性のあるものにはお金をかける一方、消耗品、見栄を張るためのどうでもいいものにはお金はかけません。

―メリハリを付けているのですね。例えば、家庭料理でいうと…。
江崎 3人の子育てをしている頃は栄養があって安い食材を工夫しながら使い、堅実な食生活をしていましたが、今は夫婦二人だけですから、好きなもの、食べたいものを、気の向くままに作っています。でも、フォアグラ、アワビ、ビーフステーキ…と高級なものばかりが並んでも食べられるものではありません。高級なもの一品に、野菜、酢の物、サラダなどを添えればメリハリがつき、その上、健康的な食生活ができます。

―おしゃれについては。
江崎 冠婚葬祭、会食やパーティーなどの装いは先方に失礼がないように、しっかりした良いものを選びます。普段着るものは、長持ちする良いものなどとは考えません。流行の中から自分に似合うデザインと色で選びます。洋服は流行遅れになってしまうものですから、買った時点で既に価値が下がると考えたほうがいいでしょうね。

家庭円満の秘訣は責務と思いやり

―家族仲良しの江崎家ですが、円満の秘訣はありますか。
江崎 それぞれが自分の出来る範囲で役目や責務をしっかり果たした上で、お互いに思いやりを持ち気配りをすることです。主人は結婚以来ずっと食事の後は洗い物を手伝ってくれています。それは私が買い物に行ってご飯を作り、節約しながら3人の子供も育て、やるべきことを一生懸命やっていることを認めてくれているからだと思っています。主人は外で頑張って働いた上で思いやりを持ってくれています。だから信頼できて、私たちも思いやりを持てます。主人のお陰で私たちは生活しています。子供たち孫たちに、私はいつもそう話しています。

―江崎流健康法は。
江崎 まず、何をするにも〝1歳でも若く見せる〟気持ち。そして毎朝食べるヨーグルト、もちろんグリコ朝食ヨーグルト(笑)。骨折して寝込んだらおしまいですからカルシウムをしっかり摂らなくてはね。そして体を動かすこと。ジムに通わなくてもいいんです。家事は重労働ですから、一生懸命やればそれで充分です。

―これからやってみたいことはありますか。
江崎 仕事上では、大好きなワインとお料理の本を書いてみたい!プライベートでは、主人がリタイアしたら一緒にクルーズに出るのが夢。今まで3回経験があるのですが、船の旅は最高です。でもダンスができなければ西洋人に引けを取ってしまいますから、社交ダンスを極めたい!

―ご主人の協力も必要ですね。
江崎 主人は何でも協力してくれますが、今のところリタイアの予定はないようなので、まず私が始めようと思っているところです。

―是非、お二人で仲良くクルーズを楽しんでください。ワインとお料理の本も楽しみにしています。

上質な暮らしや食生活を地元の主婦の方々に継承していくために、料理教室を開いている


プルミエキッチン&スタジオでは、和食には洋、洋食には和のテイストを加える。簡単なものと本格的なもの、冷たいものと温かいものなどを取り合わせ、バランスの取れた5品を作る


2種類のフルーツスコーン


タコのカルパッチョ


2013年5月、若い人向けのマナー本として刊行された「芦屋スタイル」。年輩の方からの反響も大きいという ●講談社、四六版、全254ページ


アレンジ料理クラス

江崎美惠子がご提案します。
簡単に作れて華やかなお料理を。

◆講座名:アレンジ料理クラス
◆クラス名:

アレンジ料理① 毎月1回火曜日11:30〜14:00頃
アレンジ料理② 毎月1回水曜日11:30〜14:00頃
アレンジ料理③ 毎月1回木曜日11:30〜14:00頃
◎受講料:月1回8,000円
《年間一括払い、又は前期・後期の一括払いを選択》
◎入会金:5,000円

料理教室
プルミエキッチン & スタジオ

〒659-0013 兵庫県芦屋市岩園町7-4
TEL&FAX 0797-31-8760
URL:http://www.ezaki-salon.jp

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