9月号
神戸を知り尽くした探偵たちが推薦 良い店の〝うまいもん〟
食総合研究所(うまいもん探偵団)
所長
角田 嘉宏さん
神戸伝統の食を伝え新しい食を育てよう
探偵団の歴史は、神戸の食の粋人島田光夫氏(故人)を中心に〝うまいもん食い〟が集まり「メンズクラブ」というのを作って、土曜の午後にうまいラーメンを食べていたころに遡ります。メンバーも増え、6年ほどが過ぎた頃、「おじさんたちが集まって麺食べてウダウダ喋っていてもしゃあないな。何か社会性のあることできないか?」と考え始めました。
そこで、「神戸のうまいもんを自分たちで見つけ、うまいもんを愛する人たちに紹介して、もっと楽しんでもらおう」と初代所長・島田氏の下、1994年7月29日〝ナニ、食う〟の語呂合わせで、「食総合研究所」(うまいもん探偵団)が結成されました。翌年1月17日、阪神・淡路大震災発生。「神戸の食文化の過去と現在を後世に残し、新たに芽生えたうまいもんの未来を見守っていこう」という強い思いを新たにしました。
2002年3月には、創立以来の調査活動と集約した情報を基に、幻の味の店、歴史を作った味の店、いまの味の店など神戸の味を過去・現在・未来で捉える「うまいもん探偵の味噺―神戸のグルメ今昔」を出版し、好評を博しました。
自分たちの舌で確かめ〝うまいもん〟だけを紹介
世の中にグルメ本はたくさんありますが、食べる人間が評価しなければ意味がない。その点、ずっと地元神戸にいる私たち探偵は多くの良い店情報と、その中でも特にうまい料理情報を持っています。他所からやって来て、一度来店しただけで評価するのではありません。自分たちの舌で確かめ、評価します。
創立当初の和・洋・中3部会に、現在はエスニックを加えた4部会に分かれ、食べることに情熱を燃やす探偵たちが街に出かけ、自分の舌で確かめ調査候補店を選定。その後、1人の舌では不確かですから5人以上で、対象店には調査目的を告げず出かけ、評判料理をはじめ複数の料理を喫食し評価します。その方法は、「美味しい」が1、「うまい!」が2、「3年に一度しか食べられないうまさ」が3、「10年に一度」が4、「一生に一度」が5。参加した探偵たちの評価点の最高と最低は排除して平均点を出します。全体の平均が1.8ぐらいかな…、未だかつて4以上の評価は無いですね。マイナスというケースもありますが、それは絶対書かない。うまいもんしか紹介しないのがポリシーです。
冗談など飛ばしながら楽しくやっていますが、評価についてはいたって真剣! こうして、20年間の集大成「うまいもん探偵の味噺」第二弾「神戸たべある記」が完成しました。
探偵の必須条件は美味しさへの執着
〝うまいもん食い〟が集まる探偵団に入会するには試験があります。初期からのメンバーが中心になって口頭試問で「美味しいものへの執着を持っているか?」をチェックします。「食べられたら何でもええわ」では〝うまいもん食い〟とは言えませんからね。
例えば昼ご飯どき、ちょっと歩くと「すごくうまいと評判の定食屋」があるとします。近くの定食屋で済ませるか?うまい定食屋まで歩いて行くか? もちろん私は後者です。一食でもうまいものを食べ逃したら残念でしょうがなくて、私は一日中ご機嫌斜めになります(笑)。
私は今、うまいもん探偵団が行っている活動と公正な評価方法をフランチャイズで全国展開していくことも考えています。これは日本各地の特色ある食文化の向上につながるだけでなく、作り手、料理人の大きな励みになるでしょう。
角田 嘉宏(すみだ よしひろ)
有古特許事務所会長、食総合研究所(うまいもん探偵団)
所長、神戸ワインサロン代表世話人