2015年
4月号
毎朝市場へ足を運び、その日一番の魚を仕入れる。 米や野菜は、店主の馬場さんの故郷・加西市でとれたもの

神戸の粋な店 百味処 おんじき

カテゴリ:グルメ

逸味専心(いちみせんしん)が生み出す美味

美味とは味覚にのみ訴えかけるものではない。料理の味はもちろん、朋となる酒、器や盛りつけ、居心地、それらが輻輳(ふくそう)してはじめて心の味蕾を刺激する。
格子戸を開くと、空間が心地良い。杉原明氏による幽趣なデザインで、塗りを重ねたカウンターや天井の網代に風情を感じる。馬尾毛(ばす)のファブリックで仕立てた椅子も座り心地が良い。何気ない掛け軸や花に、さり気なくもてなしの心が宿る。
もちろん料理にも抜かりがない。毎朝市場へ足を運び、鋭い眼でその日一番の魚を仕入れる。野菜や米は店主の故郷、加西の大地で育ったもの。顔の見える関係の中、日々「当たり前のこと」を確実におこなう。その積み重ねが信頼を育み、信頼がとびきりの食材を用立てる。
しかし、その質の良さにあぐらをかくことはない。「料理は〝手間〟をいただくもの。素材をドンと出すのは料理って言えません」。「逸味専心」の心ばえで素材と対話し、理に叶った方法で腕を振るう。和の基本に忠実でありつつ、時には最新の技法も採り入れるが、その手間には技と感性が欠かせない。技と感性には、魂が欠かせない。
神仏に数々の美味や珍味を供えることを「百味の飲食(おんじき)」というが、これだけ完成度の高い料理を目前にすれば、美食への煩悩がつのるばかりだ。

毎朝市場へ足を運び、その日一番の魚を仕入れる。 米や野菜は、店主の馬場さんの故郷・加西市でとれたもの


お酒も豊富。姫路の地酒からヴィンテージのワインやシャンパーニュまで、約600種からお好みで


カウンターでの対話から、料理の世界の奥行きが広がる


「お客様に満足していただくことが第一」と
店主の馬頭正樹さん


胡麻豆腐にウニを乗せて仕立てる


スッポンと白ねぎの小鍋


毎朝市場に足お運び、その日一番の魚を仕入れる


【推薦人】 カワノ株式会社
代表取締役社長 河野 忠友


■百味処 おんじき

神戸市中央区中山手通2-15-13
サンシャイン山手1F
TEL:078-271-2111(要予約)
営業:12:00~14:00(L.O.12:30)   18:00~22:00(L.O.20:00)
定休:日曜日

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