10月号
神戸のカクシボタン 第二十二回
写真/文 岡 力
北野でこだわりのキーマカレー
昼下がり、三宮駅からお腹をすかして山側を歩く。山手幹線を越えて目指すは、北野界隈。異国情緒溢れる街の一角にインドの家庭料理が堪能できるお店「シャミアナ」がある。創業1978年、オーナーの扇本庄作さんがこの地に住んでいたインド人に呼びかけ立ち上げた。現在は、本店とカレーを専門に扱う元町店の2店舗で展開している。メニュー表をめくるとベースが全く異なる３種のカレー（「チキン」「キーマ」「シュリンプ」）が記載されている。迷った挙句、ヒンディー語で「細かいもの」を意味する「キーマカレー」を注文する。水を一滴も使用せず野菜の水分だけで調理を行う。贅沢だがそうする事でまろやかさが増す。32種類以上使用するスパイスは、発汗作用や温床効果を考慮し季節に応じてブレンドされている。口当たりよく食べていくうちにお腹の中で足されていく辛さがやみつきになる。肉肉しい食感と相まって口へ運ぶスピードが加速していく。コースを注文すると付いてくる自家製の「サモサ」（春巻き）や「クルフィー」（ミルクシャーベット）も絶品である。幸せな時間は一瞬にして過ぎ去る。チャイを片手に窓の外を眺めながら余韻に浸る。「時代の流れで人の味覚も変化するので試行錯誤を重ねています。3世代で来られるお客様もおられます」と語る扇本さん。キーマの元となるミンチは、鶏を丸ごと潰しているので様々な部位の旨味が凝縮されている。北野で愛され続けている細部にこだわった「味のあるカレー」をご賞味ください。
水を使わずに作る「キーマカレー」
趣のある店内に静かな時間が流れる
シャミアナ
神戸市中央区山本通2丁目３-１４
【℡】 078-222-1722
【営】１１時～２１時 不定休
岡力（おか りき）コラムニスト
ふるさとが神戸市垂水区。著書「アホと呼ばれた’８０S」「噂の内股シェフ」「関西トラウマ図鑑」連載「大阪ロマン紀行」（大阪日日新聞）出演「おちゃのこSaiSai」（J：COMチャンネル）「Oh!二度漬けラジオ」（YES-fm）
