2015年
10月号

Report KOBE 「阪神・淡路大震災20年・語り継ぐこと/ リレートーク」9館を巡り終了

カテゴリ:文化・芸術・音楽

 1月17日(土)にデザイン・クリエイティブセンター神戸でスタートした「阪神・淡路大震災20年・語り継ぐこと/リレートーク」。被災地エリアの文化施設が連携して行ったこの取り組みは、各館の担当者が震災と美術、文化財レスキューといった内容で対話し、それを館から館へとつないでいくというもので、美術館・博物館・アートセンター等計9館が参加した。それぞれの館で熱論が交わされ、時には会場の参加者からの発言を交えながら、対話のリレーは6月20日(土)に明石市立文化博物館で最終回を迎えた。明石市立文化博物館の学芸員で、震災画の作家でもあるとみさわかよのさんに、半年間に渡るリレートークについて寄稿いただいた。

阪神・淡路大震災20年・語り継ぐこと/リレートークを終えて

とみさわかよの

作家として阪神・淡路大震災をリアルタイムに追ってきた私は、かねてから疑問があった。災害も事件も、時間が経過すると必ず「風化」という言葉が使われる。私たちは決して忘れてはいないのに、伝えること、伝え続けることは何故難しいのだろう、と。この度は「伝え方」という課題を胸に、世代の異なる学芸員たちの話に耳を傾け、各館を回らせて貰った。
 リレートーク最終日、江上代表は「当事者、被災者といった言葉で括ると、非常に多くのディテールがぬけ落ちてしまう」とその危うさを指摘し、伝える回路は多い方がいいと締め括った。震災当時から学芸員として被災地に身を置き、様々な仕事をしてきた江上さんならではの総括だった。今回のトークの特徴は、担当者に自らを「当事者」と意識する者と、「非当事者」と意識する者が存在したことだ。若い世代の者たちは、被災していない自分がこの企画に参加してよいのかと迷い、「踏み込むことを躊躇してしまう」と率直に語った。当時を知る者は「当然皆が知っている」と思い、語る必要性を感じていなかったことに気付かされた。一方は知らないからと退き、もう一方は知っていると思い込んで語らず、その狭間でたくさんの事柄が消えていく。これは紛れもなく「風化」の一側面で、先の江上さんの指摘にも通じる。ならば双方が直接語り合うことで、掬い上げられる事もあるのではないか。今回の対話型の催しは、図らずも「対話」の意義を浮き彫りにし、今後の継承のあり方を考えさせてくれた。
 同日の会場で「人と防災未来センター資料室」震災資料専門員の村上しほりさんから、「今、被災地で起きているのは、記憶の風化ではなくて変化だと思う。変化していくのは悪いことではない。時間が経てば変わっていくのは必然」とのご意見をいただいた。被災地を客観的に見ることのできる方の、冷静な指摘と受け留めたい。忘却をも否定せず、語り継ぐ方法も時とともに変わっていくという村上さんの視点は、この先さらに十年、二十年と震災を語り継ごうとする時に必要になるだろう。
 阪神・淡路大震災20年の節目のささやかな取り組みではあったが、私自身の得るものは大きかった。参加9館の担当者と来場者、ご協力いただいた方々に改めて感謝したい。(2015年9月15日)

デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)
『マッピングプロジェクト 公開インタビュー:震災当時を振り返って―作家とともに』
2015/1/17


神戸ファッション美術館
『ファッションとアートの繋がり』
2015/1/24


芦屋市立美術博物館
『ここから、これから/わたしたちの生活(くらし)』2015/1/31


兵庫県立美術館
『救うこと、残すこと―「作品」と「思い」』
2015/2/21


KOBE STUDIO Y3
『20代、30代が受け止める震災』
2015/4/29


BBプラザ美術館
『「震災と美術」から15年』
2015/2/28


神戸アートビレッジセンター(KAVC)
『あの時、聴いた音は―新開地散歩』2015/5/ 24


神戸ゆかりの美術館
『枠組みを超えた関係づくり』
2015/3/14


明石市立文化博物館
『震災を語り継ぐということ―文化施設の20年』
2015/6/20

【各館トーク参加者】

松本ひとみ デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO) 
和田かおり 神戸ファッション美術館
大槻 晃実 芦屋市立美術博物館
江上 ゆか / 小野 尚子 兵庫県立美術館
宮本亜津子 BBプラザ美術館
田中梨枝子 神戸ゆかりの美術館
高橋 怜子 C.A.P.
伊藤まゆみ 神戸アートビレッジセンター(KAVC)
とみさわかよの / 東 由梨 明石市立文化博物館
*所属はトーク実施時のもの。

〈2015年10月号〉
Re Born カミネ 元町店が新しく生まれ変わりました
神戸の粋な店 吟仕込み味処 はいから
自分たちの心の風景を子どもたちに受け継いでいく
まるごと 有馬温泉 -扉-
まるごと 有馬温泉 1
まるごと 有馬温泉 2
まるごと 有馬温泉 3
有馬温泉の伝統的なお土産・民芸品
有馬温泉特集 〈日本最古の湯・有馬〉壱
有馬温泉特集 〈日本最古の湯・有馬〉弐
有馬温泉特集 〈日本最古の湯・有馬〉参
有馬温泉特集 有馬グランドホテル
有馬温泉特集 中の坊瑞苑
有馬温泉特集 月光園 游月山荘(ゆうげつさんそう)
有馬温泉特集 月光園 鴻朧館(こうろうかん)
有馬温泉特集 銀水荘 兆楽
有馬温泉特集 陶湶 御所坊
有馬温泉特集 ねぎや陵楓閣
有馬温泉特集 角の坊
有馬温泉特集 竹取亭円山
有馬温泉特集 「金」「銀」二つの名湯
有馬温泉特集〈日本最古の湯・有馬〉四 有馬は日本一古い温泉
バイパス「有馬住吉線」9月18日に開通!
有馬温泉とUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン®)を結ぶ 高速バス 運行開始…
企業経営をデザインする② 関西のお茶の間のお供「鶯ボール」の伝統と挑戦
国際ロータリー第2680地区 神戸西ロータリークラブ 心の「四季節」便り
連載コラム 「第二のプレイボール」Vol.8
フェリーさんふらわあで行く 佐伯 延岡 東九州伊勢えび海道
関西の働く女性を応援し続けて10年 ACCJ関西ウォーカソン
「ギャッベ絨毯」大展示販売会10月18日(日)まで好評開催中!
兵庫県医師会の「みんなの医療社会学」 第五十四回
文化の融合が、独自の邸宅文化を生んだ 『芦屋の和洋館よとわに』
神戸のカクシボタン 第二十二回
Report KOBE 「阪神・淡路大震災20年・語り継ぐこと/ リレートーク」…
草葉達也の神戸物語
神戸鉄人伝(こうべくろがねびとでん) 第70回
第二十回 兵庫ゆかりの伝説浮世絵
触媒のうた 56
耳よりKOBE 六甲山にふさわしいカレーとは? 六甲・摩耶活性化プロジェクト
NEWS 『足湯の気になるつぶやき ボランティアと専門職の連携のためのガイドブッ…