8月号
自分が生きたい人生は自分で決めてほしい
ラグビー元日本代表キャプテン 廣瀬 俊朗さん
それまでの日本代表は、ワールドカップでは1995年大会から2011年大会までの24年間で0勝でした。ところが2015年大会では3勝しました。それは、日本代表がワールドカップで勝つという夢を叶えるために努力を惜しまなかったからです。2015年ワールドカップを前に、日本代表は猛練習をしました。朝は5時半から練習を行い、この生活を5カ月間続けました。とてもハードな練習をしてきましたが、しんどいことを頑張ることも大切なんです。
当時の日本代表が大切にしたことが三つあります。一つ目は、努力をすることです。二つ目は、仲間を大切にすること。チームワークです。三つ目は、感謝をすることです。試合の前日に、メンバー全員で行ったことがあります。それは、靴を磨くことでした。それは、もう一度、足元を見つめてみよう、当たり前のことが当たり前のことでなくなっていないか、モノを大切にすること、感謝をすることを忘れていないか、という気持ちを再確認するためです。
そして南アフリカ戦では、ラストワンプレーで29対32と負けていました。日本代表はラストワンプレーで、スクラムかペナルティーキックかを選ぶことになります。この時、エディー・ジョーンズ監督は引き分けを狙いペナルティーキックを選ぶように指示しました。でも、選手たちはエディー・ジョーンズ監督の指示に従わないで、トライを奪い勝つためにスクラムを選択しました。このとき、エディー・ジョーンズ監督は怒りましたが、それはメンバー全員が勝利をつかむという強い気持があったからです。
君たちに言いたいことは、大切なことは自分で決めればいい、ということです。自分の強い気持ちがあれば、お父さんやお母さんに頼らないで、自分が生きたい人生は自分で決めてほしいということです。失敗なんかは気にしないで、失敗すればまた次、頑張ればいいんです。君たちにも絶対に夢があると思います。その夢を探してほしい。
■廣瀬 俊朗(ひろせ としあき)
1981年生まれ。大阪府出身。北野高校から慶應義塾大学へ進む。東芝ブレイブルーパスに入団。エディ・ジョーンズヘッドコーチからキャプテンに指名され、ラグビーワールドカップ2015イングランド大会で快挙を成し遂げたチームの基礎を築いた。TBS日曜劇場「ノーサイド・ゲーム」では俳優としても活躍中