4月号
harmony(はーもにぃ) Vol.14 こんな夜更けに バナナかよ①
数年前、「こんな夜更けにバナナかよ」という本のタイトルに興味を持ったので購入し、読みました。昨年末に映画化されたので観にいきました。本を書いたのはフリーライターの渡辺一史さん。映画や本に登場する主人公は鹿野靖明という進行性筋ジストロフィーの難病患者で、42歳で亡くなった実在の人物です。鹿野さんが筋ジストロフィーと診断されたのは小学6年生の時。以後次第に全身の筋肉が衰えて行き、35歳になると自力で呼吸も出来なくなり、気管切開をして人工呼吸器を装着。しかし彼は家族に頼らず、施設や病院で管理されて暮らすのでなく、一人で地域で生きていくことを選択します。寝たきりで一人ではほとんどのことができない重度の障がい者が一人で生きていくことが現実に可能なのか、に命を懸けてチャレンジします。そのために必要なのは24時間彼の傍らにいて常時介護や看護をしてくれるボランティアの存在です。食事、排せつ、入浴、寝返り、痰の吸引、ありとあらゆることすべてを他人に頼らなければ生きていけないのです。生命線であるボランティアの確保と毎日のローテーションを組むのは至難の業です。
映画の中で、不眠症の鹿野さんが深夜の2時ごろ、「腹へったなあ。バナナがたべたい」と言います。女子学生のボランティアが深夜のコンビニを探し回ってやっとバナナを手に入れてきます。「こんな夜更けにバナナかよ」は深夜に非常識とも思える要求を突き付けられたボランティアのうんざりした、怒りともあきらめとも何とも言えない気持ちを表したつぶやきをタイトルにしたものです。
映画ではボランティアが怒り心頭に達して主人公に「あんた、何様だと思ってるの!障がい者だと何を言ってもいいの!」とわめく場面があります。すると彼は「障がい者はわがままを言ってはいけないのか!」と言い返します。わがままや自己主張は障がい者には許されないのか、言いたいことも言えず、他人に迷惑をかけず、我慢して耐え忍ぶ姿が社会が期待している障がい者像なのか。鹿野靖明さんとボランティアたちとの衝突、葛藤、悩み、などを通して「他人に迷惑をかける生き方」を次号で考えてみます。
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