10月号
酒造文化を通じてさらなる地域貢献を 櫻正宗
櫻正宗はもともと伊丹で農業の傍ら酒造りをしていました。私どもでは1625年の創醸と言っております。その後湾岸へ移り、1717年に初代山邑太左衛門と名乗って酒造専業となりますが、その年を創業としています。
櫻正宗は宮水の発見で知られています。1840年頃、6代目の時なのですが、西宮の蔵の方が魚崎の蔵と比べて酒の味が良いのです。原料を同じにしてみたり、蔵人を交換してみたりしてもやっぱり西宮の酒が良い。それで水ではないかと、西宮から魚崎に水を運んで仕込んだところ、良い酒ができたのです。
正宗の元祖も櫻正宗です。6代目が京都のお寺に伺った際、臨済正宗という経典を見かけ、清酒とゴロが良かったために酒銘を「正宗」としました。
また、協会一号酵母も櫻正宗の発祥で、優良な酵母として国に最初に認定されました。
魚崎は交通が至便ですね。阪神で三宮まで8分、梅田やなんばへも直結しています。高速道路の入口もあって車でもスムーズに移動できます。スーパーやホームセンターもできて便利になりました。一方で住吉川があり、遊歩道や公園も整備されて自然環境が良いところで、教育環境にも恵まれています。
魚崎はもともと漁村で、江戸後期から酒蔵地帯に変わっていった歴史があります。地域の結束も固く、伝統的に自治会活動が盛んですね。酒蔵には地元の子どもたちも見学に来ます。中学生ではトライやるウィークの受け入れをおこない、レストラン業務から菌の培養まで体験してもらっています。また、年に一度11月の第一土曜日に蔵開きをおこない、今年で12回目になります。毎年のべ5千人近くの方にお越しいただいています。
江戸時代の蔵は震災で倒壊したのですが、その復興にあたって地域の人にもっと櫻正宗を理解していただき、地元の方々が集える場所をと、廃材を用いて建てたのが櫻正宗記念館「櫻宴」です。レストランや日本酒専門呑処「三杯屋」などを通じて酒造文化を発信し、いろいろな方々に来ていただくことで、魚崎の発展に繋がればいいと考えています。
櫻正宗記念館 櫻宴
神戸市東灘区魚崎南町4-3-18
阪神魚崎駅下車徒歩約5分
[営]10時〜19時(ショップ・カフェ)
11時30分〜15時[14時LO]・
17時〜22時[21時LO](レストラン)
17時〜22時[21時LO](三杯屋)
[休]毎週火曜日
TEL.078-436-3030
http://www.sakuramasamune.co.jp/