2026年
3月号
3月号

茨木市のシンボルキャラクター
神戸のカクシボタン 第147回 地元にまつわる妖怪・UMA・生物の謎を探る!!『ひょうご五国の怪物たち 何者!?茨木童子』

写真/文 岡 力

平安時代、京の都を荒らした「酒呑童子」。その家来として仕えていた「茨木童子」は関西において認知度の高い鬼と言える。最も有名なのは渡辺綱に羅生門(または一条戻橋)で腕を切り落とされた伝説。後に綱の継母に変装し片腕を奪還したというスパイ映画さながらのエピソードもある。出生地は名前の通り、大阪府茨木市かと思いきや兵庫県尼崎市や新潟県長岡市と様々。中でも尼崎で語り継がれる伝承が面白い。東富松の農家で異常に大きな赤ん坊が生まれる。この時点では人間の子供だったが歯が生え、髪が長かったことから「鬼」と恐れられ、茨木に捨てられるも酒呑童子に拾われたという。成長後、病の両親を恨むことなく見舞いに来たという親孝行な一面もあり…その正体は謎に包まれている。酒呑童子と言えば大江山を拠点とした説が有力だが、茨木童子には確固たる記録がない。結果、複数の地域において観光や信仰と結びつけた独自解釈の物語が誕生し「郷土化」(ローカライズ)されたと考えられる。江戸時代にかけて琵琶法師や御伽草子などのメディアでじわじわと広まった異なる説。正義か?ヒールか?「みんなちがって、みんないい」とあざ笑う茨木童子の姿が目に浮かぶ。

茨木市のシンボルキャラクター



こころやさしい
尼崎市の茨木童子
(富松神社)
■岡力(おか りき)
放送作家・コラムニスト・イラストレーター、ふるさとが神戸市垂水区。関西の大衆文化をテーマとした執筆、番組を企画。
日本放送作家協会関西支部事務局長・大阪芸術大学短期大学部客員教授、心斎橋大学・神戸電子専門学校講師。












