2月号
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【特集】神戸ファッション協会主催 食文化発信事業 これからの洋食 2024
12/7(土)、メリケンパークのレストラン、オーシャンプレイスで、“神戸洋食”を切り口にしたイベントが開催された。オーシャンビューの絶景ロケーションで、洋食に着想を得た人気料理家提案のフィンガーフード&神戸のバーテンダーによる趣向を凝らしたカクテルのペアリングを堪能。さらにトークショーや音楽ライブも!という盛りだくさんの饗宴に、約100名のゲストが酔いしれた。
真っ昼間、笑顔でパクつくオムライスなどといった下町カジュアルなイメージが強い「洋食」。それゆえにしっぽり都会的なカクテルと合わせることは“ない”と考えていた人も多いのでは?2023年に引き続いて「これからの洋食」を提案する神戸ファッション協会主催のイベントでは、そんな“ない”を逆転させ、なんなら可能性を拡げようと「神戸洋食とカクテルのおいしい関係」をテーマに掲げた。港からやってきた西洋料理を独自の解釈で発展させてきた「神戸洋食」は様々な楽しみ方を秘めており、バーフードとして提供されることもあるほど、洋食&カクテルは“全然、あり”なのだ。
当日はKiss FM KOBE サウンドクルーの松田礼那さんがナビゲーター役となり、神戸ファッション協会の副会長を務める『剣菱酒造』代表の白樫政孝氏の挨拶と乾杯でスタート。料理は、芦屋で『自然派料理アマソラ』を主宰する料理家・池㞍彩子さんが監修。生産者を訪ねて吟味した食材の味を大切にする池㞍さんが、立食パーティでも楽しみやすいフィンガーフード仕様の洋食を用意した。
特製デミソースがしみた神戸ビーフのビフカツサンドや2口サイズのオムライスなど宝石のように輝く料理がズラリ。そんな見目麗しい洋食にマッチするカクテルを提供するのは、神戸が誇る3人のバーテンダーだ。確かな技能を持った実力者達がカクテルとノンアルコールカクテルを三者三様に提案した。『サヴォイ オマージュ』は「素材感ある池㞍さんの料理に負けないようパンチのあるカクテルを」と森﨑さん。カニ料理にはクセありなセロリとテキーラ、ビフカツには赤ワイン風という斬新なハーモニー。生産者の顔が見える素材にこだわる『バー ローゲンジッツ難波』の難波さんは、ほろ苦いケールのキッシュにはトマト農家の弟さんのトマトを採用した真っ赤なカクテルを。ノンアルコールゆえ、“牙を抜かれたドラキュラ伯爵”というユニークなカクテル名で。「寒い冬、ホットカクテルで心も身体も温めてほしい」と語るのは『ザ ナインティーンス バー』の藤井美晴さん。添加物皆無のほうじ茶リキュールを使うなど、身体思いのカクテルを素敵な笑顔と共に提供した。参加した人達は「カクテルは単品で飲むものと思っていたが、料理と合わせると美味しさも倍増」「お洒落な神戸らしい食の提案だと思う」と洋食&カクテルの新しい楽しみ方に満足しきり。
ペアリングを楽しんだあとはフードコラムニスト・門上武司さんと弊誌髙橋直人編集長によるトークショー。門上さんはお気に入りの『伊藤グリル』『グリル一平』の行列必至の洋食や『にしむら珈琲店』のグラタン定食などについて、髙橋編集長はローストビーフが評判のパブ『キングス・アームス』『ダニーボーイ』など今はなきバーの話も。門上さんは「料理とお酒のプロがそれぞれの領域を理解・考慮して意外なクリエーションを生みだすのがペアリングの面白さ。その妙味について会話を楽しむことも時間を豊かにする」と語った。
イベントの最後を飾る音楽ライブには、神戸市出身のナガシマトモコさんと宝塚市出身の藤本一馬さんによるユニット『オレンジ ペコー』が登場。酔いが回り始めた時間、暮れなずむ神戸の景色に心地の良い音楽がシンクロし、なんとも贅沢な時間となった。
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100名分のチケットが完売する人気イベント
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神戸ファッション協会の白樫政孝副会長が乾杯の音頭を
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神戸市の「神戸灘の酒による乾杯を推進する条例」にのっとり剣菱の日本酒を使ったカクテルで乾杯。グラスからふわりと広がるレモンの香りがパーティの始まりに華やぎを添える。
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『自然派料理アマソラ』の池㞍彩子さん。西区の農家『ナチュラリズム』さんのケールのキッシュや丹波栗と薔薇のモンブランなど、地元食材を多用し、スパイスやソースを組み合わせて唯一無二の味を実現。「何を使っているんだろう?と会話も楽しんでもらえれば嬉しい」とコメント
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アペは朝倉山椒が効いた弓削牧場のフロマージュパイ
SAVOY hommage(サヴォイ オマージュ)
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サントリー ザ・カクテルアワード2024で優勝した森﨑和哉さんが最高技術を発揮
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蟹の旨味満載の松葉蟹のクリームコロッケにはボディ感が強いセロリに緑茶等を合わせたテキーラのカクテル。無花果コンポートを使ったデミソースのビフカツサンドには様々な酸味を重ね赤ワインの味や栄養素を再現したノンアルコールカクテル
BAR Logensitz(バー ローゲンジッツ) 難波
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香りをテーマに考案したという難波宏行さんのカクテルは五感に響く味わいが特徴
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丹波地鶏が入る濃厚なオムライスには、姫レモンの葉っぱをウォッカに漬け込み、紅マドンナと合わせた爽やかなカクテル。ほろ苦いケールのキッシュには、バジルとエルダーフラワーで香りづけしたトマトジュースのノンアルコールカクテルを提案
The Nineteenth Bar(ザ ナインティーンス バー)
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藤井美晴さんは日本初でティーバッグを作った「神戸紅茶」を用いるなど神戸を意識
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プリンアラモードには「神戸紅茶」にレモンゼリーを入れたノンアルコールのティーソーダ。シメのデザート、薔薇の花びらを散りばめた丹波栗のモンブランには、ほうじ茶リキュールとスパイス、牛乳でつくるホットチャイのカクテルで、帰路を温かに
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神戸グルメを知り尽くすフードコラムニストの門上武司さんと髙橋直人編集長のトークショー。
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イベント終了後、ナビゲーターのKiss FM KOBEの松田礼那さんは「港神戸を望む神戸らしい空間で、美味しくてお洒落な神戸の食の魅力を実感できるイベントでした。来年もまた開催できることを楽しみにしています」と盛況を喜んだ
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「orange pekoe(オレンジ ペコー)」のライブ。ヒット曲「Happy Valley」から最新曲まで、心地よいヴォーカル&ギターを披露