Movie and CARS｜フォード GT40

車

映画:『男と女』 1966年 フランス
登場車両:フォード GT40

FORD GT40
文・株式会社マースト 　代表取締役社長　湊 善行
カーレーサーのジャン（ジャン＝ルイ・トランティニャン）はドービィルの寄宿学校に通う息子を預けた。アンヌ（アヌーク・エーメ）も同じ寄宿学校に娘を預けた帰り、パリ行きの列車に乗り遅れ途方に暮れる。困るアンヌを見かけたジャンが車でパリまで送ろうと誘うシーンから物語が始まる。ジャンの妻は、ジャンがレース中の事故で意識不明の重体になった時、極度に悲観して乱心、自殺したのだった。アンヌもスタントマンの夫を事故で無くした未亡人で、お互いパートナーを亡くした共通点がある。二人は何度か逢ううちに心を寄せ合うのだが、アンヌは事故で亡くした夫の記憶から一歩を踏み出させないでいる。危険なレーサーのジャンを想うと、前夫を亡くした時の苦しみや恐怖が重なる。そんな切ない心をアンヌの魅力的な目が語り掛けてくる。過去をモノクロで演出、避暑地ドービィルでの時間など全編を通して美しいシーンが印象的。二人の想いが揺れ動く様を感じながらフランシス・レイのスキャットに身を委ねる。ジャンがテスト走行する車はフォードGT40。ジャン＝ルイが実際にレースに出ているシーン（当時のモンテカルロ・ラリー）が映し出され、フェラーリ、ポルシェ、ルノー、ロータスなど名車が走り抜ける。アンヌの揺れる想いをリズムを感じながら美しい映像と古き良き名車とフランスの香りを楽しむ104分。