7月号

Movie and CARS|BMW 3.0CSi
映画:『エンツォ レーサーになりたかった犬とある家族の物語』 2019年 アメリカ
登場車両:BMW 3.0CSi
BMW 3.0CSi
文・株式会社マースト 代表取締役社長 湊 善行
カーレーサーのデニー・スイフト(マイロ・ヴィンティミリア )は雨に強いレーサーだがチャンスに恵まれない。ある日、通りすがりにレトリバーの子犬を引き取りエンツォ(フェラーリの創始者:エンツォ・フェラーリから)と名付けた。物語はエンツォ(声:ケビン・コスナー)の視点で語られていく。デニーはイブ(アマンダ・サイフリッド)と結婚、長女(ゾーイ)も生まれスイフト一家3人とエンツォは幸せな日々を送るのだが、妻イブが病に伏してしまう。懸命な治療の甲斐なくイブはクリスマスの夜に眠るように旅立つ。裕福なイブの両親は孫のゾーイを引き取りたいと様々な方法でゾーイを奪おうとするが、そんな行為にデニーはやりきれない。大雨の中、ジョギングにエンツォを連れ出したのだが、途中エンツォが車にひかれ腎臓を傷める重傷を負う。デニーはエンツォの治療費を払うために義両親の申し出を受け入れ誓約書にサインするのだが、エンツォが誓約書を破いてしまう。親権を争う裁判が始まるが義母が真実を語ったことでデニーが勝訴。そして義両親と和解する。そんなデニーにチャンスが訪れフェラーリのテストドライバーになり、優れたドライビングテクニックが認められ活躍を始める。嬉しい時も悲しい時も、どんな時にも寄り添ってくれた愛しいエンツォ。ある日、デニーは年老いたエンツォをフェラーリのレース仕様のオープンカーにのせてサーキットを走る。エンツォは大満足、そしてエンツォが語る「死は終わりじゃない。人に生まれ変われるのは準備の出来ている犬だけ。私は準備ができている。」と。エンツォを亡くして8年が過ぎた。フェラーリの正規ドライバーになったデニー、フェラーリのパドックに一人の少年がやってくる。デニーのファンでレーサー志望、年齢は8歳、名前は“エンツォ”と言う。
E9シリーズは1968年に直列6気筒2,800㏄のビッグシックスエンジンを搭載してデビュー、1971年に3,000㏄(キャブレター仕様)の3.0CSへ移行、その後、ボッシュ製(Dジェトロニック)燃料噴射装置を装備し登場したのが3.0CSiである。高性能なシャシ、足回り、エンジンに、ボディーデザインはマルチェロ・ガンディーニによるもの。シャープなラインの中にも優雅さを持ち、今もファンが多く、BMWクーペと言うと3.0CSi、サーキットで活躍した3.0CSLが最初に目に浮かぶ。1976年に「世界一美しいクーペと言われる」6シリーズ(E24)にバトンを渡す。BMWを代表する名車。