1月号
会下山の桜を守りたい! 神戸印刷若人会設立60周年 “繋がれた襷”
神戸市内の桜の名所として知られている会下山公園。春になれば、色鮮やかな桜が咲き誇り、多くの見物客が訪れる。この会下山は、古戦場としても知られている。建武3年(1336)、楠木正成が湊川合戦の際に、本陣を構えて700名の家来と共に、数万といわれる足利尊氏軍と戦い、自害した地でもある。会下山公園の頂上付近には、楠木正成を祀る「楠公湊川陣之遺蹟碑」が建てられている。
今では美しい桜が咲き誇る会下山公園だが、実は60年ほど前には禿山だった。この禿山に植樹を行ったのが、神戸市内で印刷業に携わる若手で結成される神戸印刷若人会であった。昭和38年から43年にわたり植樹を行い、年々桜の数が増えていき、今ではその数は約550本にものぼる。当時は、地元の人々からも大変喜ばれただけでなく、今では神戸を代表する桜の名所となったのだ。しかし、桜の寿命は約50年と言われており、寿命をまっとうした桜が朽ちていく姿が目立つようになってきた。
2016年に創立60周年を迎えた神戸印刷若人会。その記念事業として、先輩たちの想いを受け継ぐべく、植樹活動を再開することになった。11月19日、あいにくの雨の中、神戸印刷若人会のメンバーをはじめ約40名もの関係者が参加した。
神戸印刷若人会60周年記念・岡冨弘樹実行委員長は、「先輩方の想いがつまった桜の木が朽ちても、その想いを途切れさせることなく、“繋がれた襷”のように、後世につなげていきたい」と力強く語った。その後、記念碑の除幕、植樹式が行われた。
約50年前、植樹活動を行ったОBの姿も。「当時、血気盛んな若者だった我々が、何か地域に貢献できないかとはじまった植樹活動。半世紀を経て、後輩たちがその思いを受け継いでくれていることが嬉しい」と感慨深げに語った。
会下山を彩る満開の桜。それは、神戸印刷若人会の“繋がれた襷”そのものでもある。