6月号
神戸青年会議所 神戸JCの夢がつまったタイムカプセル VOL.4
日本初となる地方博覧会「ポートピアʼ81」が開催された1981年、神戸青年会議所(以下神戸JC)では、20年後の神戸の将来像を綴ったメッセージや、神戸市内の子どもたちのメッセージをタイムカプセルに詰め込んでポートアイランド南公園に埋設。20年後の2001年に開封し、さらに新たなメッセージを詰め込んで再び埋設。2021年4月23日には2度目となる開封作業が行われました。今回、1981年に第23代理事長を務められた六甲バター株式会社・塚本哲夫相談役にお話を伺いました。
心と心が ぶつかり合う「響働」の精神
―JC活動は1971年から1982年までの11年間、理事長も経験されましたが、その時にタイムカプセル事業を実施されましたね。
私が理事長を務めました1981年といえば、ポートピア’81が開催された年です。今の現役メンバーの皆さんがお生まれになる前ですね。兵庫ブロック会員大会が神戸JC主管で開催されることが決まっていましたので、ポートピア’81に関連する事業を考えました。1970年に大阪万博が開催されましたが、その時に100年後、500年後にタイムカプセルを掘り起こすという事業がありましたが、これにヒントを得て計画することになりました。その時に、自分たちがまだ健在な時にタイムカプセルを掘り起こそうということになり、20年後ならみんな元気だろうと、2001年に掘り起こすことになりました。ポートピア’81期間中に、ポートアイランド南公園でタイムカプセルの本体が展示されました。その時に封入する作品を公募しました。兵庫県内および神戸市の教育委員会に協力いただきながら、幼児・小学生は「20年後の神戸と私の生活」または「未来につたえる現在の姿」を、中高生・大学生には「21世紀の神戸」をテーマに、絵やイラストで夢を綴っていただきました。
―神戸JCとしてどのようなメッセージを記されたのでしょうか。
ご承知のように、もともと新関西国際空港が神戸沖に建設される予定だったのですが、その後、選挙問題などが絡み、泉州沖に建設されることが決まりました。しかし、「国際都市神戸に国際空港を」と、もう一度、神戸沖に戻してもらおうという活動を行いました。「海から空へ」という提案書を作成し、出版記念パーティーを開催するなど、神戸JCとして様々な誘致活動を起こしました。大阪商工会議所や大阪JCの方々ともお会いし、神戸商工会議所や神戸JCの先輩方にもご相談して活動をしておりますと、次第にクローズアップされるようになり、大阪財界の重鎮の方から直接お会いしたいというお申し出をいただいたほどです。
ですからタイムカプセルを開封する2001年には、「神戸に国際空港ができているだろう」ということを想定してメッセージを綴りました。今でも当時記したことを読みますと、若い時には、こんな事を考えていたのかと感慨深いものがあります。タイムカプセルには、神戸JCの夢が詰まっていました。
―2001年から20年後の2021年4月23日には、2度目のタイムカプセル開封事業が行われました。
タイムカプセル事業を記念した埋設地には、記念碑を造りましたが、そこに「心と心」という言葉が記されています。私の理事長時代に掲げた基本方針で、現役メンバーが、タイムカプセル事業や空港問題など大変な事業を通して、心と心がぶつかり合い、心が響き合う。この「響働」の精神は今でも生き続けていますし、当時の関係者の皆さんとは今でも懇意にさせていただいております。
最初にタイムカプセルを埋めてから40年が経ちました。改めてポートアイランドを眺めますと、すっかり様変わりしたなあと感じました。しかし、神戸JCの「響働」の精神は今も生き続けていると感じますし、嬉しく思います。若い方たちと接しておりますと、現役時代に「神戸の街を良くしたい」と活動していた当時を思い出しましたし、私も若返る感じがします。
失敗を恐れず、がむしゃらに様々な提案をしてほしい
―JC活動の魅力は、人と人とのつながりでもありますね。
私が理事長を務めた時に、大阪JC、京都JC、神戸JCの三都市の正副理事長会議を開催し、オール京阪神の発展を一緒に考えてきました。当時は、神戸が海外との窓口になり、大阪はビジネスの中心、京都はおもてなしをする奥座敷という役割を分担し、京阪神の発展を考えていこうと話し合いをしました。この会は、40年の時をへた現在でも続いています。現在、コロナ禍で中断していますが、京阪神を良くしていくために何が必要かということは、よく話題にのぼります。JC活動で築いた人のつながりは、今でも大きな財産になっています。
―今、神戸の街を良くするためにどのようにお考えでしょうか。
井戸知事にお会いした時に、よく申し上げるのですが、関西国際空港と神戸空港を結ぶ海底トンネルを開通させてはどうかというお話をします。神戸から関西国際空港に行くのに阪神高速を利用しますとかなりの時間がかりますが、海底トンネルを使えば直線距離で結べ、時間の短縮にもつながります。また、神戸には海底トンネルを造る上で、高い技術をもった川崎重工業株式会社があります。神戸JCでも是非とも提案してほしいですね。また、神戸の南北の交通アクセスを整備するために、ロープウェーを活用してはどうかということです。様々な意見もありますが、私は賛成です。六甲山から新神戸、そして街中を繋げば、神戸特有のロケーションを生かした新たな魅力にもつながるのではないかと考えております。
―現役メンバーへのメッセージはございますか。
JC綱領の一節に、「青年として英知と勇気と情熱をもって明るい豊かな社会を築き上げよう」という文言があります。いい言葉だと思います。私自身、今でもふと頭に思い浮かぶことがあります。神戸の街の将来に夢をもって、失敗を恐れず、がむしゃらに様々な提案をしてほしいと思います。様々な活動を通して、視野が広がります。そして、「志を同じくする者相集い力を合わせ」という文言もあります。「同世代のみんなと、神戸のために何かをしたい」という若い方が増えることを期待しています。
1,500通の手紙と、500枚の絵をお返しします
2021年4月23日、ポートアイランド南公園駅前広場で、タイムカプセル開封事業を実施いたしました。コロナ禍ということもあり、記念式典は18名の関係者にお集まりいただきました。当日は、1981年に理事長を務められました塚本哲夫先輩、2001年に副理事長を務められました古田実先輩(株式会社クリエンテス 代表取締役)にもご出席いただきました。
タイムカプセルの本体は、ステンレス製で直径約1m20㎝、高さ約1m40㎝の円筒形というかなり大きなものです。そのため、掘り起こしの作業には想像以上の時間がかかりましたが、皆さんのたくさんの夢が詰まっていることを実感しました。このタイムカプセルの中には、20年前に公募で呼びかけた神戸市民、神戸市内の子どもさんたちにいただいた1,500通の手紙と、500枚の絵を封入していました。こちらは、7月22日、23日に開催を予定しております「Kobe Love Port・みなとまつり」で返却させていただく予定です。現在、神戸JCのホームページをご覧いただきますと、問い合わせフォームを設けております。20年前にメッセージや絵をお寄せいただいた皆様には、お名前や当時の住所を書き込んでいただきましたら、当会のメンバーからご連絡を差し上げます。大切なメッセージですので、なるべく直接お渡しできればと考えています。是非ともご応募ください。
「夢カプセル2001」タイムカプセルの返還についてのご案内
2001年に神戸青年会議所として埋設しましたタイムカプセルを20年の時を経て、この度掘り起しました。つきましては封入していただきました皆様に返還を行いたいと思いますので返還フォーム(https://kobejc.or.jp/info/5295/)へ回答頂ければ幸いです。皆様の大切な封入物を確実にお返しさせて頂くためにご協力頂ければ幸いです。
*ご回答いただきました個人情報につきましては厳重に管理し、返還完了次第削除させて頂きます。