4月号
南京町春節祭@オンライン「春節祭誕生物語」座談会 Vol. 2
できることのなかで最高のことをやりきる。
それが南京町スタイル
コロナ禍で、南京町YouTubeチャンネルでのオンライン開催となった南京町春節祭。2月11日には「春節祭誕生物語」と題した座談会が配信されました。神戸っ子ではその様子を2回にわけてご紹介。後半となる今号では南京町青年部発足まで遡り、来年の春節祭にかける想いまでをお届け。
そもそものきっかけは
タダのすき焼きだった⁉
…1987年から、89年の昭和天皇崩御と95年の阪神・淡路大震災の2回を除き、毎年開催してきた南京町春節祭。チャーターメンバーとなる皆さんは、お祭りをしようと決まったとき、どのようなお気持ちでしたか?
畑 素直にやりたいと思いましたね。私は春節祭が始まる2年前に南京町に店を出した新参者でしたので、何かを一緒にすることで街に仲間入りできると思い、大賛成で立ち上げメンバーに手を挙げました。
曹 僕は畑さんほど、まじめな動機ではないですよ。ある日、街の重鎮から「とけいや」ですき焼きを食べさせてやるから集まれ!と若手10名ほどに声がかかりました。それが春節祭という行事を若手で頑張ってやってねという青年部の発会式だったんです。「ありゃりゃ、働かなあかんやん。まぁ、なんとかなるか…」というような気持ちで、青年部が誕生しました(笑)。
中野 都心商店街の若手の連絡会議「NETWORK KOBE21」の場で、小売商業部会長・UCC上島珈琲㈱の上島達司社長(当時)が若手の皆さんに発破をかけられたんですよね。そうして青年部が中心となって春節祭を実行することになり、準備のための会議を開くのですが、白熱して夜中12時を過ぎることも多々。終電がなくなりかけて困りました。でも、やっているうちにどんどん面白くなっていくんですね。
ワクワクする楽しさ
だから、続いている
…どんどん面白くなっていく要素はどんなところに?
中野 踊り手が足りず、龍舞にも駆り出されるわけです。やりだすと気持ちが高揚して、やめられない。今でこそ広場にロープを張ってガードマンを配置してやっていますが、一回目のときは朝から既に黒山の人だかりで、「すみません、場所を空けてください」とその場でスペースを確保しながら踊りました。観客との距離が近いので手応えもすごかった。踊り終わって喫茶店で皆と休憩していると、隣に座ったお客さんが話しかけてくるんです。「日本に来て、何年になりますか?」と(笑)。カンフーウェアを着て踊っていましたから、勘違いされたんでしょうね。
曹 お祭りには「ワクワクする」「楽しい」「仲間と一緒に」という要素が大事ですね。それがないと長続きしないと思います。南京町商店街振興組合の先輩理事から「曹さん、街づくりは責任感だけでは長続きしないよ。自分のためになると思わないとこの役はできない」とアドバイスを受けました。色々な人を巻き込んで刺激を受けることが自分のためになり、学びになる。「仲間と一緒に楽しく」という想いを、皆がもつことが長く続ける秘訣だと思います。
畑 私は今、元町5丁目から南京町を見ているのですが、「継続は力なり」の言葉をまさしく実現している地域だと思いますね。一つひとつをクリアしながら毎年重ねてきたことを、これからは若い世代が中心となって続けていってくれるのだろうなと期待しています。この季節になると頭が春節祭一色になります。獅子や龍が元町商店街まで練り歩き、ドラの音、シンバルの音が遠くから聞こえてくるともうワクワクするんです。今年はそれがないのが少し寂しいですが、ぜひ来年は聞きたいですね。
曹 南京町は自己表現の場なんです。そういう意味で春節祭を続けてきたことは良かったですし、この体験を次の世代の人たちにも継承してもらいたいですね。
コロナにも負けず
SNSで積極的に発信
…今回、オンラインで春節祭を開催されようと考えられたのは?
曹 コロナ禍のなか、昨年4月からSNSの専門家に来ていただいてオンラインによる情報発信の勉強を始めました。最初は視聴者数も多くなかったのですが、あるときからブレイクして登録者数もうなぎのぼりとなり、太極拳やヌンチャク、料理教室の動画、僕が南京町を散歩しながらお店を紹介する情報番組「曹さんぽ」もつくりました。昨年10月に中秋節のオンライン放送をやったところ好評だったため、緊急事態宣言が出てリアルイベントを中止せざるをえなくなった春節も急遽、オンラインでやろうとなりました。できることのなかで最高のことをやりきるのが南京町スタイル。皆さんに見ていただいて、評価していただく。そのなかで喜んでいただければ、私たちも嬉しいと考えました。
…実際にアクセス数も増えてきていますね。
曹 南京町に興味を持ってくださる隠れファンがいることがわかりました。それが後押しとなり、今回のアーカイブ春節祭のモチベーションにつながりました。
来年は初心に帰り
感動再び、お届け!
…最後に2022年春節祭の構想を教えて下さい。
曹 第一回のときのように皆で作り上げて、皆に感動していただくことが目標です。中止の翌年はうっぷん晴らしで(笑)、盛り上がるんです。次回の畑さんの三蔵法師、中野さんの龍舞の復活劇は見ものだと思いますね。
畑 昭和天皇が亡くなられたときに初めて中止しましたが、ずっと続けてきたものが途切れるというのは辛いですね。今回は残念ながらこういう形での開催となりましたがその分、来年は自分はもちろん、お客さまにも2倍、楽しんでもらおうという気持ちで臨みたいと思います。
中野 ㈱ロック・フィールドは南京町商店街振興組合の理事会社として参画しており、理事会では私が会社を代表して好き勝手に話すことを、曹さんたちに包容力をもって受け止めていただいています。私がもつ知見がお役に立つことがあれば、これからもしっかり口を出していこうと思っていますのでよろしくお願いいたします。
曹 次の春節はこの充電期間を活かして多くの方々のご意見を伺い、仲間を増やして、後世に語り継がれるような思い出深い春節祭にしたいですね。そのために若手も私たちチャーターメンバーも混然一体となって頑張りたい。またお祭りの開催はもちろんですが、まずはコロナが収束してそんな騒ぎもあったね…という風景を早く見たいです。
…次回の春節祭に乞うご期待!皆さまには楽しみにお待ちいただければと思います。
南京町春節祭のチャーターメンバー
春節祭の準備段階から参画。
西遊記行列の伝説の三蔵法師として有名
春節祭創設&成功に向け、皆の意見を集約したり、勉強会開催などに尽力
その功績が認められて20代から組合理事を務める
明るく、ちゃきちゃきした進行にファン多数