4月号
芦屋市制施行80周年記念展 と 芦屋和洋館MUSEUM構想
芦屋の邸宅文化を未来へ
芦屋洋館建築研究会代表 建築家 福嶋 忠嗣さん
芦屋の魂を知る展覧会
国際文化住宅都市、芦屋市が市制施行80周年を迎える今年、芦屋の代名詞とも言える邸宅についての展示が芦屋市役所北館エントランスで開催される。
これは、長年芦屋の邸宅建築について調査・研究を重ねてきた芦屋洋館建築研究会代表で建築家の福嶋忠嗣氏の監修で、福嶋氏の著書『芦屋の和洋館よ とわに』に掲載した26の建築を3期3か月にかけて1か月あたり約8館ずつパネルで紹介するとともに貴重な映像を放映。本誌バックナンバーなど資料の閲覧も可能で、芦屋の近現代史を彩った名建築を多角的に紹介するとともに、景観保全のトップランナーを走る芦屋の取り組みや阪神間モダニズムに象徴される芦屋ならではの生活文化にも迫る内容になりそうだ。
また、福嶋氏によるレクチャーを各会期末に開催予定のほか、登録文化財や近代化遺産に認定を受けた邸宅の現地見学会、福嶋氏・元『アシヤアドプレス』編集長の吉田光夫氏・本誌編集長髙橋直人の鼎談を交えた食事会も企画中だ。
芦屋の記憶と記録を後世へ
緑豊かな住環境、行政と市民による景観保全、そして洗練されたライフスタイル。それらの根本であり、近年失われつつある洋館建築の調査や保存活動に長年取り組んで芦屋のアイデンティティを守ってきた福嶋氏は、芦屋に生まれ、芦屋で暮らし、芦屋で仕事をしてきた自らの人生を賭し、後世に芦屋の住宅文化を伝えるべく今回の展示以外にも精力的に活動している。
六麓荘の建築や歴史について記した『蘆屋六麓荘物語』も今後出版される予定。また、洋館に和の空間を組み込んだ建築をあらわす「和洋館」というワードも商標登録予定だ。
さらに、自宅アトリエを開放しこれまで収集してきた芦屋や洋館に関する書籍や資料、解体された建築の一部などを展示する芦屋和洋館MUSEUM構想に向け、社団法人を設立。開館すればリアリティのある展示やモダンデザインの祖、ウイリアム・モリスに関するワークショップにより、見て触れて肌感覚で〝芦屋の生き様〟を実感できるだろう。