2019年
7月号
7月号
連載コラム 「続・第二のプレイボール」 |Vol.7
二足のわらじで奮闘するレジェンド 大西宏明さん
文・写真/岡力<コラムニスト>
引退後にさまざまな世界で活躍する元プロ野球選手の「今」をご紹介します。
郊外のグランドで闘志むき出しの若者にノックをする元プロ野球選手がいる。大西宏明さんは大阪府堺市育ち。小学2年の時に父親の影響でバットを握る。地元の名門「堺ビッグボーイズ」の監督より好きな高校を聞かれ意識することなく口にしたPL学園に進学。夏の甲子園・準々決勝では松坂大輔率いる横浜高校と対戦し延長17回におよぶ死闘を繰り広げ球史の舞台に立った。「勝つために一生懸命だったのでしんどくはなかった。当時、松坂世代と言われ悔しい気持ちもあったが今となってはありがたい」と振り返る。
近畿大学を経て大阪近鉄バファローズに入団。その後、オリックス、横浜でプレーし2011年福岡ソフトバンクを最後に引退した。
翌年、「誰より美味しいものを食べてきた」という自負もあり大阪・ミナミで焼肉店「笑ぎゅう」を開店。事業も軌道に乗り充実した日々を過ごしていたが昨年、転機が訪れる。関西独立リーグに所属する「堺シュライクス」より監督の依頼があった。声をかけたのは、ボーイズリーグ時代のチームメイトで同社代表の夏凪一仁さんだった。
技術、効率も大事だが練習のための練習をしないという精神論も取り入れ指導する日々。「プロにする事が目標ではありません。やるからには一軍で活躍し続けて欲しいです。かつてのライバルである松坂投手(中日)を打ち、同僚の平石監督(東北楽天)を楽にさせる選手を育てたい。あと飲食店も成功させ現役引退後のモデルになりたい」と語る大西さん。
長く険しいプロへの途、選手と共に汗を流し親身になって牽引していく。