9月号
桂 吉弥の今も青春 【其の二十八】
ロンドンオリンピックのはなし
男子サッカーの3位決定戦が終わったところ、今は八月十一日の朝です。
あと二日ほどの日程を残していますが、間もなくロンドンオリンピックが閉幕します。時差が八時間、私はこのところずっと睡眠不足です。
自分のお目当ての競技の前に見たこともない競技の中継が入るでしょ、時間つなぎに見よかと大した興味も持たずに画面を眺めているとこれが面白い。世界一を決める大会ですからレベルが高いのは当たり前、勝負のドキドキに加えてそれぞれの競技のちょっとしたことが気になる私でした。
アーチェリーって結構山なりで弓が飛んで行くんやなあ、そら風の影響受けるわとか、卓球の相手のボールの読み合いって囲碁や将棋の世界みたいだとか。
中でもバドミントンで銀メダルを取った藤井・垣岩フジカキペア。垣岩さんの汗をぬぐう仕草が気になってしかたがなかったんです。ゲーム中に滴る汗がコートに落ちると滑ったりして危ないのでしょう、手のひらで顔や首筋の汗を集めるようにしてからコートの外に向けて指先をぱっと弾くんです。はじめは何をやっているのか分からなかった、ペアの相手に向けてのサインかと思った。じっくり見ていると拭いた指先から水分が飛ぶのが見えたので「ああ、汗か」と分かりました。その指先の感じが金井克子みたいでね、そう『他人の関係』パッパッパパパッです。
なでしこジャパンを先頭にほんと日本は女性が大活躍でした。それに比べて男性のたよんなさ、草食系男子という言葉もありますが、もうちょっとしっかりしてもらいたい。
柔道男子の金メダル無しもちゃんと考えないといけないし、先ほどまでのサッカー韓国戦も悔しさよりも寂しさが残りました。久しぶりのグループリーグ突破、準々決勝エジプト戦の鮮やかな勝利に期待値が上がり過ぎていたのかもしれませんが、相手のスタイルに合わせてしまい自分たちのサッカーが出来ていない。
そもそも関塚ジャパンのスタイルって何だったっけ?とグランド上で迷ってしまっているサッカーでした。ベスト4よくやったって素直に言えないですし、選手たちも相当悔しいはずです。いや、これを悔しいと思わないと次には繋がらないでしょうね。なでしこジャパンも北京オリンピックのベスト4からスタートして四年越しの銀メダルなんですから。
ぼやいてばかりも嫌なんでロンドンに咲いた大和撫子たちのお話しを。
競泳の寺川さんはべっぴんさんやとチェックしてましたが、平泳ぎの鈴木聡美さんのチャーミングなこと。日焼けした肌に白い歯がこぼれて、夏目雅子似。必死に泳いでる表情がゴールしてタイムを確認したとたんに緩む、素敵な笑顔が余計に素敵に見えました。
そしてなでしこジャパン、オリンピックで初めてのメダルおめでとうございました。アメリカとの決勝戦は敗れたものの清々しい試合でした。日本のシュートは何度もゴールポストを叩いて、あの中の一本でも入っていればと思うんですが、そこはサッカーの神様のさじ加減だと思います。
昨年のワールドカップの決勝も同じ日本対アメリカ。延長後半も終了間際に澤さんの奇跡的なシュートが決まり、海堀さんの神がかり的なセービングでPK戦を制した。あの時は日本に微笑んだ神様が今回はアメリカにほんの少し味方をしたんじゃないかと思うんです。それぐらいちょっとの差だった。なでしこは強かったですよ、十回やって一回勝てるかどうかという差ではなくなってきましたね、四、五回は勝てるくらいになってきました。
自分たちのサッカースタイルがある、目指しているものが強く強くある。決してレフリーに文句も言わないし相手をつぶしてやろうなんて思ってない。楽しくて強いサッカーなでしこジャパン。澤さんがいなくなるのが残念ですが、最高でした。お疲れさまでした。
ああ、寝不足で応援してた皆様もお疲れさまでした。
KATSURA KICHIYA
桂 吉弥 かつら きちや
昭和46年2月25日生まれ
平成6年11月桂吉朝に入門
平成19年NHK連続テレビ小説 「ちりとてちん」徒然亭草原役で出演
現在のレギュラー番組
NHKテレビ「生活笑百科」 土曜(隔週) 12:15〜12:38
MBSテレビ「ちちんぷいぷい」 水曜 14:55〜17:44
ABCラジオ「とびだせ!夕刊探検隊」 月曜 19:00〜19:30
ABCラジオ「征平.吉弥の土曜も全開!」 土曜 10:00〜12:15
平成21年度兵庫県芸術奨励賞