11月号
ぶらり私のKOBE散歩 Vol.6
清盛がくれた、人とのつながり 地域の愉しみ
山端 秀明
Hideaki Yamabata
電鉄商事株式会社DTSコミュニケーションズ
ゼネラルマネージャー
1969年3月神戸生まれ。本業のインターネット開発事業だけでなく、「結婚しようよ、神戸で!」を合言葉に、神戸のウエディング業界が取り組む「神戸ウエディング会議」や、平清盛関連プロジェクトなど、さまざまな取り組みにおいて中核メンバーとして参画。「世界レベルで通用する 神戸ブランドの構築が夢」と語る。
とにかくこの一年は、兵庫区内を中心におこなわれる清盛関連のイベントで走り回っている山端さん。お寺でカフェ、大仏のもとでお芝居…などなど、ユニークなイベントを通して、地域の人と、そしてここに集まってきた若者たちと、輪が広がっている。清盛ゆかりの兵庫津エリアの街歩きおすすめスポットと、山端さんお気に入りのお店を訪れた。
神戸の郷土料理“いかなご”を
地元のおっちゃんの話を聞きながら買ってほしい
最初に訪れたのは、江戸時代から続く海産物問屋「兵庫津 樽屋五兵衛」。いかなごのくぎ煮、神戸牛 牛肉ちりめんなどを扱う商店だ。社長・高田さんは歴史ある地・兵庫を地元企業・商店の力で盛り上げようという「よみがえる兵庫津連絡協議会」会長であり、山端さんも協議会メンバーとして活動している。「震災の年に母が、春にいかなごを炊いて全国のお知り合いに送ったんです。だからいかなごは震災復興の味でもあって、自分にとってとても大切な食べ物なんです」と山端さん。「いかなごは神戸で唯一ともいっていい郷土料理でしょう、観光客の方がそれをおみやげに買うときに、新幹線の駅で買うのもいいけど、こういうふうに、実際作っているおっちゃんの話を聞きながら買ってほしいと思うんです」。樽屋五兵衛本店の店先では、周辺の清盛めぐりを楽しむ人が足を止め、お茶がふるまわれることも。
「うちのいかなごは、日本で2番目に美味しいんです。1番は、それぞれのお家で炊くいかなごですからね」と高田さんは常々話していたが、このたびついにその名も「壱の一 いかなごくぎ煮」を発売。2~3月の間、その日の一番網漁の魚を一番釜で炊いたもので、とびきり新鮮な魚を秘伝のタレで味わう“一番”のくぎ煮だ。
■兵庫津 樽屋五兵衛
TEL.078-652-1620
神戸市兵庫区本町2-1-23
10:00~17:00 無休
音楽の神様・弁財天を祀る真光寺でギターとサックスのライブ演奏
清盛が日宋貿易の拠点とした大輪田泊周辺、兵庫津に街歩きに出かける。
清盛が出家したお寺といわれる、能福寺の茶屋では、平安時代の食を想定した「平安の旨味」とかりがね茶のセット(500円)が人気。毎週土曜・日曜には、境内でお芝居のパフォーマンスが披露されている。
清盛塚の近くの真光寺は、清盛が厳島神社を勧請して弁財天を祀ったお寺。音楽をつかさどる神様・弁財天にちなみ、ここではギターとサックスの生演奏が土曜・日曜におこなわれている。茶屋では、コーヒー、紅茶を抹茶のように泡立てたミルクとともにいただく「清盛泡立珈琲膳」「清盛泡立紅茶膳」(各600円)がおすすめ。ふわりとした泡がほのかな甘さでおいしく、スコーンとともに。
お茶屋でのおもてなしやパフォーマンスは、着物姿の「清盛茶屋お接隊」が行っている。
シャッターが半分だけ開いているおかき工場
知る人だけが買っていく
能福寺の裏手にある、あられ・おかきの製造・直売「ハブタ商店」は、1948年から3代続く揚げ菓子の工場。朝早くから工場内でおかきが揚げられている。半分だけ開いたシャッターの向こうでは、玄関先にちょっとした販売コーナーがあり、「清盛あられ」(500円)などオリジナル商品が並べられている。朝早く来たラッキーな方には、揚げたておかきが試食できたりもするといい、直接大量購入していく人もいるという。工場から直接おいしい手焼きのおかきが買える、こんなところも町工場の楽しみのひとつ。
■ハブタ商店
神戸市兵庫区北逆瀬川町4-14
TEL.078-652-8575
夫婦そろって、中村さんの作るお料理のファン
さて最後に、山端さん夫妻がよく訪れる、イタリアンバルをご紹介。シェフをつとめる中村由美子さんが、前のお店にいたときから彼女の料理が好きだったという山端さん夫妻、「中村さんにその日食べたいものを言って作ってもらっている」からメニューはあまり知らないという。お酒を飲まない山端さんが好きなのは特製のフレンチトースト(メニューにはなかった)。お酒を飲む人と飲まない人が一緒に来てそれぞれにおいしく食事ができるこのお店、お客さんも、カフェ使い派、きちんとお食事派、バー使い派などさまざまで、年齢層も幅広いとか。「お友達に紹介してもみんなこのお店のファンになってしまうんですよ」と。ランチはパスタランチ(900円~)、自家製生地のピザ(950円~)、日替わりのランチコース、ディナーコースも。イタリア文化に親しんでほしいと、リモンチェッロなどの食後酒をはじめお酒も豊富。ちなみに看板やロゴデザインは山端さんが手がけ、マチルダという猫が、異人館から神戸の街を眺めているというすてきなデザイン。
■matilda
TEL.078-392-5223
神戸市中央区下山手通2-11-26
ランチ12:00~15:00
ディナー18:00~24:00(23:00 L.O.)