8月号
事故のないクルマ社会の実現に向けてデンソーテンの通信型ドライブレコーダー
「G500Lite」の活用術
2020年6月、道路交通法改正により「あおり運転」への罰則が設けられて以降、多くの企業でもドライブレコーダーを導入しているが、その役目は、単に運転映像を録画するという領域から大きく進化している。デンソーテンの通信型ドライブレコーダー「G500Lite」は、クラウドサーバーと連携してAIと人のインタラクティブな世界を構築し、運転データを活用した新たなサービスとして注目を集めている。地盤・測量のスペシャリストである株式会社トラバースは、社内で起きた交通事故をきっかけに「G500Lite」を導入し、現在は全国の営業所などで活用している。日々の業務と並行して安全運転への意識を高めることは簡単ではないが、確かな効果を実感しているという。
交通事故を繰り返さないために
―「G500Lite」導入のきっかけについて教えてください。
実は、「G500Lite」を導入する以前に、社内で立て続けに大きな交通事故が起こったんです。再発を防ぐため、ドライブレコーダーの導入を検討し始めました。事故が起きる以前も現在も、事業が土木関係ということもあり、社内で年2回「安全衛生大会」を開催しています。その中で安全運転について話し合ったり、交通事故の事例を検証したりする取り組みを行ってきました。各営業所では月1回安全に関するミーティングも行っています。しかし、日々行う調査・工事などの業務と両立することを考えると、ある程度本社側で社員の運転状況を管理できる仕組みの方が良いのではと考えました。弊社は主に調査課・営業課・工事課という部署で社用車を運転しています。2017年にまずは調査課から約200台分を導入して、効果を確かめました。
AIが自動抽出した「ヒヤリハット」を社内で共有
―今では400台以上の社用車に「G500Lite」を導入しているそうですね。どんな点が優れていたのでしょうか?
「G500Lite」はドライブレコーダーから取得した映像データがサーバーにアップされ、一元管理ができます。また、走行中に何らかの異常が起きた際のメール通知なども自動で届くので、管理しやすい点が良いですね。「G500Lite」の導入後は、ドライブレコーダーから取得した約半年分の映像から、AIが自動で抽出した「ヒヤリハット」のシーンや、手動でピックアップした危険運転の映像などを社内で共有しています。先ほど挙げた「安全衛生大会」やミーティングなどでも活用しています。
―「G500Lite」の導入後、どのような効果を実感していますか?
大きな交通事故が無くなったのが一番です。映像を共有する場面が定期的にあるため、社員の緊張感も保てているのだと思います。また、コスト面で言うと、事故を起こした後に保険料が上がりましたが、現在は毎年下がっています。
また、SDカードから映像データを読み込まなくてもよくなった点が大きいです。それまではドライブレコーダーの録画映像を抽出するには、現場で仕事をした後に営業所へ戻って、SDカードのデータを読み込む必要があって、業務上の負担になっていました。一括で管理して、状況に即した対応ができるのは、現場にとっても管理側にとっても負担の軽減になります。加えて、管理側からすると、管理画面がシンプルになり非常に使いやすくなったのも、業務時間の短縮につながっていると思います。
安全運転への意識向上をさらに加速させる
―今後、「G500Lite」をどのように活用していきたいとお考えですか?
すでに実装済みのものですが、ドライバーの安全運転評価をランキング化する機能を活用したいと考えています。実は以前、利用してみようと試したのですが、細かい評価設定をせずに使ったので、あまり点数に差が出なかったんです。4月からは「ながら運転」や、一時停止などの道交法を違反した際に、検知ができるようになったと聞きました。これを生かせばもっと細かい評価ができるようになると思うので、活用していきたいです。例えば、安全運転をしている社員の人事評価に反映するようにできれば、全員が真剣に取り組んでくれるのでは、と思います。
―「G500Lite」の導入を通じて、社内の安全運転への意識は高まったでしょうか?
以前より高まっていると思います。ただ、それでも軽微な事故やヒヤリハットは無くなりません。交通ルールを守れとか、スピードを出すなという指示を出すのは簡単なのですが、実際に交通違反をしていなくても事故は起こり得ます。そういったことを含めて、どうルールに定め、評価を行うのかが今後の課題ですね。