2020年
7月号
7月号
連載コラム 「続・第二のプレイボール」 |Vol.11
技術よりも気持ちの部分が大事 杉本剛太さん
<WELFARE女子硬式野球部監督>
文・写真/岡力<コラムニスト>
引退後にさまざまな世界で活躍する元プロ野球選手の「今」をご紹介します。
「引退してからは考える野球をするようになった」そう語るのは、大阪初の実業団チーム「WELFARE女子硬式野球部」(株式会社エースタイル)監督の杉本(旧姓・国木)剛太さん。大阪府堺市出身、バスケットボールに興味があったという少年時代、兄の影響で地元の少年野球チームに入る。中学に進学すると投打で頭角を現し強豪・上宮高校へ進学。エースとしてチームを牽引しプロのスカウトから注目を集める存在になった。しかし高3最後の夏に悲劇が襲う。大阪大会・準々決勝試合前のアップ時、他選手と接触し転倒。地面へ手を着いた拍子に左手首を骨折した。決死の覚悟でマウンドへ上がるも4球で降板し敗退。だが…秋に行われた2001年ドラフト会議では広島東洋カープから6位で指名された。
入団後はリハビリに専念し4年間で3度の手術をしたが怪我に泣いた。「子供の頃から輪の中心には自分がいた。しかしプロでは叶わなかった。ただ一流選手を間近でみて技術よりも戦う姿勢を学んだ」と当時を振り返る。引退後は、地元でスポーツ店を営む傍ら野球教室を実施。指導者として評判を呼び女子プロ野球(京都フローラ)コーチを経て昨年、介護事業を展開する現在のチーム発足に携わった。またラッキートーナメント大会(後援:阪神タイガース)では3位の好成績を収めた。「女子選手は、納得しないと向き合ってくれません。自信のない選手には潜在能力を引き出せるように指導しています」。今日も選手の気持ちに寄り添いグランドに立つ。