11月号
草葉達也の神戸物語
ゲスト: 紫苑 ゆうさん
(元宝塚歌劇団・男役トップスター)
夢の世界のタカラヅカ。子どもの頃から観ている私にとっては本当に夢の世界です。そんなタカラヅカの中でも、退団した今もなお夢をみさせてくれる伝説の男役トップスターさんがいます。愛称シメさんこと紫苑ゆうさんは、退団後も芸能活動は一切せず、男役「紫苑ゆう」を守り続けて来ました。今回も無理だろうなぁと思いながら連絡をすると「大好きな神戸のことなら!」と了承していただきました。嬉しい~!
「よろしくお願いします。まさか対談させていただけるとは思ってもいませんでした」「今まで本当に頑なに、自分はやめたのでとお断りしてきました」「光栄でございます」「いえいえ」「神戸生まれ神戸育ちで」「そうです~ 神戸大好きです」「私も神戸生まれ神戸育ち。神戸大好き・宝塚歌劇大好きです」「一緒ですね(笑)」「現役のタカラジェンヌさんたちに買い物の話しを聞くと、かならず東京か大阪って言いますね」「私は絶対に神戸です。大阪はあまり行かないですね。元町の大丸・居留地付近は今も好きですね」「大丸派ですか? 私はそごう派かな(笑) 屋上の遊園地とか楽しみでしたね」「私はやはり大食堂が好きでした」
「子どもの頃の思い出の神戸というと?」「だったら六甲山ですね~ 夏になるとお弁当持ってポットにお茶を入れて、家族全員で夜景を見によく行きました。六甲山のあの草いきれが、今も家族との思い出を蘇らせてくれますね~」「いい思い出ですね」「あとお店だと三宮の『第一楼』です。子どもの頃に国際会館とかでバレエの発表会があったりすると、必ず『第一楼』に家族で行きましたね。今も時々利用しますけども、あそこもやはり私にとっては小さい時によく行った家族の思い出の場所なんです」「そんな神戸大好きの紫苑さんが思う、神戸の魅力とは」「やはり海と山ですね~ 北野とか異国情緒というのもありますが。でも住んでみないとわからないと思います。地方行って帰って来てポートタワー見たら涙が出てきたりします」「本当に一緒ですね」「そうです。神戸っ子ですから(笑)」
「そんな紫苑さんが毎年唯一行っているイベントがあるとか?」「はいホテルオークラ神戸さんで毎年『再会』という同窓会のようなイベントをしています。11月にあるのですが12回目です」「どれぐらいの人が集まるのですか?」「千人の方が毎年集まってくれています」「凄いですね」「今年はもう千人は無理だと思っていたのですが、本当に自慢じゃなくて嬉しい悲鳴で、今年も千人集まっていただけそうです。一年に一度ということもあるし、神戸ということでみなさん集まってくれていると思います。内容は正式なディナーショーというような感じではないのですが、数曲は歌わせていただきます。あとはお話させていただいて、地方からも沢山来ていただくので、一年に一度の本当に同窓会という雰囲気です。ファンの方には、最後の一人になるまでやりますよーって言っています」「ホテルオークラというのもいいですね」「色んなところから話しはいただきましたが、やはり地元神戸ということにこだわっています。ホテルの部屋でお化粧して、ファンのみなさんにお会いしてから終わって部屋に戻って、スタッフと乾杯しながら、窓の外の景色を見ると、今年もちゃんと神戸に帰ってきたなぁ~って気持ちになりますね」「まだまだ男役・紫苑ゆうですね」「私には宝塚というものがあったからこそ、今でもこれだけのファンの方に集まっていただける。それが、自信を持って宝塚音楽学校で教えるための情熱につながっていると思いますね」 現在は宝塚音楽学校で演劇の講師をされている紫苑さん。現役時代と本当に変わらないオーラをお持ちなのには驚きました。また、ぜひお会いしたいです。
(撮影協力/宝塚ホテル)
紫苑 ゆう(しおん ゆう)
宝塚歌劇団 星組男役元トップスター。歌劇団に入って間もない新人の頃から頭角をあらわす。軍服が似合い、多くのファンを魅了した。代表作「うたかたの恋」「若き日の唄は忘れじ」など
くさば たつや
神戸生まれ。作家、エッセイスト。
日本ペンクラブ会員、日本演劇学会会員