7月号
これからが正念場。落語と喜楽館、 そして街のために
これからが正念場。落語と喜楽館、そして街のために
―1年間を振り返っていかがですか。
不安半分、大丈夫半分、心の中は葛藤の連続でしたが、館長としてはお客さんとのコミュニケーションが多少なりとも取れたかなと思っています。出演者からは、「おとなしいけれど笑うところではちゃんと笑ってくれる」「喜楽館のお客さんが好き」「とてもやりやすい」という声を聞きます。ありがたいですね。
―喜楽館ができて街は変わりましたか。
新開地には古くから文化・芸能の街という土壌がありました。社会の変化とともに衰退しましたが、流れは脈々と続き、今、その時代に戻ろうとしています。昔を知らない若い人たちにとっては新鮮なのでしょうか、商店街に若い人や着物姿の女性グループが来てくれるようになりました。寄席が終わったら、近くで食事をしてもらえるといいですね。それが街の活性化につながります。この界隈には美味しくて個性的なお店が、実はいろいろあるんですよ。「喜楽館の帰りにまた寄ろう」と言ってもらえるよう、お店も努力が必要です。
―若手落語家にとっては良い場ができましたね。
文枝師匠もずっと言っておられるのですが、若手の落語家が喜楽館から世の中に出ていって、また戻ってきてくれる、そんな好循環を目指しています。これからが楽しみな若手や、あまりテレビなどには出ないけれど実力のある中堅もたくさんいます。そんな落語家が出演できる場として応援したいと思っています。
―これからの抱負は。
2年目、3年目、お客さんに飽きられてはいけないし、1回行ったから「もうええわ」と言われてしまってもいけません。落語ファン、そして喜楽館ファンになってもらうにはこれからが正念場。そのためには「喜楽館へ行ったらいい気分になれる」と言っていただけるサービスが大切です。スタッフはみんな丁寧にやってくれていますから、この調子で気を引き締めていきます。
キタとミナミの喫茶店から
茶房 歌舞伎 早﨑 茂伸 さん
お隣に喜楽館がオープンしてから気楽館側のドアを開けっぱなしにしているんです。一番太鼓の音、お客様の声や演者さん達のお見送りの声とかきこえてね。活気があります。近くで見ている応援団の1人です。家族それぞれ好きな噺家さんができて、落語の話をするようになりました。同じ高座を見ても感じ方は違うんですよね、そこがまた面白い。ありがたいことに忙しくなって、なかなか思うようには行けないのですが…(笑)
茶房 歌舞伎
新開地2-4-17
松岡珈琲店 松岡 啓輔 さん
最近ね、女性のお客様が多いな、って日は、笑福亭たまさんか桂春蝶さんが出演の日だったりするんです。そんなふうにファンが増えていくのを目の当たりにしています。それから、公演前に寄ってくださるお客様と公演後のお客様では、表情が全然違うんですよ。もちろん、公演後は皆さんにこやかで声のトーンも明るい。笑うっていいことなんだな、って実感しています。しかも前売券2,300円ですから(笑)
松岡珈琲店
新開地1-1-8